公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
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29したが、助手席を外したことによって、子供を2人連れて乗ることができないということがあり、1日の運行の中で運用しにくいということがあった。 福祉タクシーとしては小さくて可愛いということで子供には評判だが、あまり使われていない。 玉木 タントを介護施設の送迎に使ってみたが、2人しか乗れないので、乗り降りはしやすいが問題があることがわかった。 筒井 このプロジェクトは既存の技術でできるという前提で進めているのか、ある程度将来を見通したものなのかによって変わってくると思う。 自動運転が実現化されてきている中で、自動運転をベースにこれを設計するとガラッと変わってしまうのでどう位置づけているのか。 自動運転が前提となった場合、タクシー事業者との協力の前提が変わるし、タクシー事業者との連携を前提として都市部を想定する場合と、タクシー事業者がいないような地方で自動運転を想定する場合で制度設計が違ってくるので、どのような見通しか教えてほしい。 関口 自動運転はすぐにやってこないと我々は考えている。自動で走らせることは簡単だが、インフラとの協調や自動でないクルマとの共存など、安全を誰が監視するのかという問題がある。飛行機のオートパイロットでも人が監視している。安全を担保するかという問題はクルマの中だけで解決するものではなく、インフラや社会との関係、ドライバーのものの考え方の問題、法規などいろいろなものをはらんでいるので、技術開発は進んでいるが、すぐにやってくるとは思えない。 このプログラムは、自動運転や社会インフラとの関係でどういう都市型ヴィークルがいいのかということは、人が運転する、所有するクルマについては各自動車メーカーパーソナルモビリティの開発などがいろんなことをやっているし、我々もやっている。当初自動車メーカーと一緒に考えようとしてきたし、今でもやっているが、それとは違った視点で運転しない人、クルマがいらないという人にスポットを当てた時に、とはいうもののクルマは使えるだろう、それはなんだろうということ。KIZASHIと言っているのは、みんなが何となくそう思っているが、ポジティブな発送ではなく、裏側に潜んでいる何かに焦点を当てたら何が見えてくるかということが出発点。 そうすると都市か田舎かという意味では東京に着目をしている。色んな所でタクシーをやっている会社に話を聞いたり、田舎の町や都心の過疎も見てきたが、今着目しているのは都心のラストワンマイル。 事業化モデルとして何かができないかというデマンドとしての価値もあるが、都心の老齢化は大きな問題で、こころタクシーと一緒に取り組んでいる。そこで出てきた仕組みがある程度有用であれば、いろんな地方で頑張っているタク

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