公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
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20 対象とする移動ニーズの整理 • タクシー業界を活性化するためには、市場の拡大が必須であり、その中で、現在他の公共交通機関が提供しているが、非効率となっている移動を取り込んでいく可能性がある これらのポイントをイメージ図にしたものを図 5-1に示す。 図 5-1 タクシーが対象とする市場の拡大のイメージ 図 5-1に示した①~④の新たな取り組みのうち、①に位置する事業者独自のサービスによって付加価値を持たせる取り組みは各地ですでに実施されている。その代表的なものがハイヤーや子育てタクシーといった取り組みである。 一方、③や④に位置する日常的移動にタクシーを利用するためには、料金を低廉にする必要がある。このために、a)相乗りによるコストのシェア、b)公的負担による利用者負担額の軽減、の2つの方向性が考えられる。a)相乗りによるコストのシェアの方策としては、発展途上国におけるパラトランジットのように、複数人による相乗りを行った上で、ルート・運行時刻にバスよりも幅を持たせたサービス(④)を実施することが、b)公的負担による利用者負担額の軽減としては、すでに各所で取り組まれているデマンド交通(③)が考えられる。 日常的ではないにしても、②のように単位輸送あたりのコストが増大するものに対しては、やはり公的負担を行うことで利用者負担額を軽減することが考えられ、福祉タクシーへのタクシーチケットの補助などが具体的な方策として考えられる。 これらの方策の萌芽的事例として表 5-1に示すような事例が各地ですでに取り組まれており、今後、豊田市をはじめとする各地での適用可能性についても検討が必要である。 日常的移動非日常的移動単位輸送あたりの収益大単位輸送あたりの収益小③不採算地域におけるバス代替サービス①高付加価値サービス日常移動への拡大④薄利多売サービス現在のタクシー市場高収益事業への拡大運賃外収入による拡大②介助付き外出支援サービス

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