公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
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114.事業環境とタクシー事業者の経営者の意識に関する分析 地域の状況がタクシー台数やタクシー事業者の経営者の考え方にどのような影響を与えているかといった点について検討するため、クラスター分析を用いて各交通圏の事業環境を分類し、これが事業者の規模と関係があるかどうかについて分析する。次に、アンケート調査を用いてタクシー事業者の経営者の意識を調査し、これが事業環境と関係があるかどうかについて分析する。 4-1.事業環境の分類 中部地方は、名古屋都市圏のように人口200万人を越える都市から中山間過疎地域まで多様な地域を含んでいる。このため、タクシーの経営環境が地域によって大きく異なると想定される。 そこで、タクシーの営業許可の単位である「交通圏」ごとの事業環境の違いを表現すべく、ウォード法による階層型クラスター分析を実施した。なお、名古屋交通圏については他の交通圏と比較して規模が極端に大きいため、クラスター分析の対象とはしていない。 クラスター分析の説明変数としては、交通圏の人口(平成22年度国勢調査値)、駅・バス停密度2)、飲食店密度3)、事業所密度3)を用いた。これらの説明変数を用いた理由は、タクシーの需要が居住者数のみならず、地域の公共交通機関の充実度合い、飲食店の分布状況、企業活動の活発さなどと関係していると考えたためである。 タクシーを利用する理由として、既往の調査4)、5)、6)を参考に ・飲酒時、深夜、出張等商用、他に適当な交通手段がない場合、 を設定。これらを表現しうるデータとして上記を設定。各データの出典は以下の表を参照。 説明変数 選定理由 出典 人口 総需要規模を表現 平成22年度国勢調査 駅・バス停密度 公共交通の充実度合いを表現(タクシーは鉄道・バスの補完的手段であるため)国土数値情報の駅・バス停データを域内で集約 飲食店密度 飲酒の機会、観光地といった非日常的移動を表現 平成24年経済センサス-活動調査を面積で除する 事業所密度 地域における企業活動を表現 平成24年経済センサス-活動調査を面積で除する なお、交通圏は平成の大合併前の市町村区域を基本として設定されているため、現在の市町村割りでのみ入手できるデータについては、旧市町村の人口割合で案分して用いている。 クラスター分析の結果、中部地方の各交通圏の事業環境は4つのクラスターに分類できた。それぞれのクラスター平均値から各クラスターの特徴を把握した結果を表 4-1に、樹形図を図 4-1に示す。都市地域(大)はいずれの指標の値も大きく、(中)、(小)、中山間地域の順に指標の値が小さくなっていることから、この順に事業環境が厳しくなっているといえる。 これら4類型に名古屋交通圏を合わせ、図 4-2に示すように合計5つの事業環境を設定し、交通

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