ゾーン30選定方法に関する研究
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4 図 2-2 生活道路パタンの分類5) 2-2.生活道路ネットワーク特性の客観的表現手法 2-2-1.既往研究 先に整理したように、交通事故との関連性といった観点から生活道路のネットワーク特性を表現する方法として街路パタンに着眼したものがいくつか散見される。しかしそれらは、定性的(主観的)であいまいなものが多い。この点について、学術的には定量化する方法がいくつか提案されている。 高野ら7)の報告によれば、道路ネットワーク特性の客観的表現手法として大きく、形態的指標という図形的特性を入力情報とするものと、位相幾何学的指標という個々の道路の接続関係を入力情報とするものといった二つの視点からのものが提案されている。位相幾何学的指標は高松ら1)が応用しているスペースシンタックス理論などが該当するが、本研究では、特に形態的指標の観点から既往研究の整理を試みる。 形態的指標の代表例は、フラクタル次元、田村ら8)によって提案される迷路性といったものがある。フラクタル次元は1975年にB.B.Mandelbrot(IBMワトソン研究所)により提唱された概念である。フラクタルが持つ重要な性質である自己相似性(何らかの意味で全体と部分とが相似であることをさす言葉)によって、部分と全体の関係を捉え、都市の全体的なスタイルの特徴を定量化できるとされる9)。フラクタル次元を用いた街路解析の例は多い。例えば、水野ら9)は、厳密には自己相似性を有していない都市街路形態へフラクタ
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