ゾーン30選定方法に関する研究
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3 害程度)を推計している。結果として、ループ&ロリポップ形式の街路は負傷事故を増加させるものの、物損や死亡事故を減少させること明らかにしている。 これらの研究は比較的ミクロな道路ネットワーク形状に着眼した研究として整理することができる。他方、マクロ的な道路ネットワーク形状に着眼したものとしてM. Moeinaddini, Z. Asadi-Shekari & M Z. Shah6)の研究が挙げられる。M. Moeinaddini, at el. 6)はユーロ圏を中心とする52都市の事故と道路ネットワークの関係性についてOpen Street MapとUITPのデータを活用し、道路延長、エリア当たりのブロック数、抽出エリアの交差点数、幹線道路延長を説明変数とする一般化線形モデルを構築している。結果として、エリア当たりのブロック数、抽出エリアの交差点数、幹線道路延長の増加が事故の増加に結びつくことを示している。 以上のように交通事故と関連性が認められる生活道路ネットワーク特性についての既往研究を整理したところ、非常に数が限られていることが確認された。この原因として、S. M. Rifaat, at el.5)は特に海外においては、クルドサックやループ、ロリポップ形式のネットワークは如実に速度や通過交通を低下させるため、それがひとつの回答として一般化しており、それさえすれば良いという風潮があったとしている。 またグリット形式、クルドサック形式など道路ネットワーク特性として扱っている指標は、その多くが主観により判定されたものであり、予測モデルの構築において重要となる指標化の扱いが煩雑になる。客観的指標として扱われるものも道路延長や交差点数などに限定され、ネットワーク特性をより適切に表現できているとはいえない。よって以下では交通事故との関連性に限定せず、道路ネットワーク特性を客観的に表現する理論について整理をする。 図 2-1 生活道路ネットワークの分類4)

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