ゾーン30選定方法に関する研究
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1 1.はじめに 1-1.背景と目的 わが国では面的に広がる生活道路の交通安全の向上を目指して、ゾーン30などの面的な速度抑制対策が進められている。平成23年9月20日に警察庁から出された「ゾーン30の推進について」の通達によれば、対象地域の選定方法に関しては大きく「市街地等から幹線道路等物理的な境界に囲まれた地区」というルールが設定されている。しかし、同時並行的にすべての市街地等における指定が困難である中で、まずもって当該地区のうち何処を対象とするのかという点について明確な方針は明示されていない。その結果として、「対策が効果的な地域」ではなく、「対策を導入しやすい地域」が選択されているような事例も散見される。 この実情を受けて、豊田都市交通研究所では平成25年度より土地利用、都市施設配置、人口分布等を説明変数として、面的な交通安全対策の必要な地域を明らかにする研究(豊田都市交通研究所,「周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究 報告書」,研究調査報告2013-⑤,2014)を進めており、一定の成果を挙げている。しかし、当該成果は、ゾーン30の推進により最も期待される交通事故の抑制程度を表現するものではなく、あくまで相対評価による整備優先順位を明示するものであった。当該対策をより適正なかたちで推進していくにあたっては、その整備効果の客観的評価に資する方法論の提案が欠かせない。そのためには、まずは生活道路における交通事故発生レベルを予測できる評価モデルの構築が必要である。 交通事故の発生予測にあたっては、様々な指標の活用が想定できるが、本研究では、当該成果の他地域での応用を想定し、比較的入手の容易な指標に限定して検討をすすめる。この観点から、平成25年度に検討した周辺土地利用や道路性能の影響は重要な要素であると予想できる。加えて、ゾーン30のような面的対策を検討するうえにおいては、対象地域に広がる道路ネットワークの特徴がひとつの重要な視点になると考えられる。しかし、平成25年度の成果では道路ネットワークの特徴について考慮できていなかった。 以上より、本研究では、平成25年度の成果である周辺土地利用と道路性能に加えて道路ネットワークの影響を考慮した生活道路での交通事故発生予測モデルを構築することより、生活道路での交通事故が発生しやすい地区の特徴を明らかにし、交通事故の削減という観点からより効果の期待できるゾーン30導入を導入すべき箇所の選定方法を提案する。 本研究の主な流れは以下のとおりである。 (1)面的な交通安全対策に適用可能な道路ネットワーク理論の整理・検討 面的な交通安全対策を検討する際に必要となる道路ネットワークの特徴を表現するにおいて応用可能な理論を整理する。 (2)周辺土地利用と道路ネットワークから見た交通事故発生レベル予測モデルの提案 豊田市をケーススタディエリアとして、周辺土地利用の影響、上記により整理した道路ネットワークと通過交通発生要素を考慮した交通事故発生レベル予測モデルを提案する。

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