ゾーン30選定方法に関する研究
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8 2-3.交通事故発生予測に適する統計モデルの検討 W. E. Marshalla, at el4)やM. Moeinaddini, at el. 6)、A. Hadayeghi, at el11)にみられるように、交通事故予測モデルに用いられるのは、基本、正規分布への当てはまりを想定する線形モデルよりむしろ、負の二項分布やポワソン分布など他の分布への当てはまりを想定する一般化線形モデルが用いられることが多い。これは、交通事故は図2-5に示す交通事故の発生分布のように、期待発生回数が少ない場合(λ=1など)のポワソン分布や負の二項分布(図2-6)への当てはまりがよいためである6)。よって、交通事故発生予測に適する統計モデルを検討する際には、一般化線形モデルであるポワソン回帰モデルや負の二項回帰モデルをまずは採用することが望ましいといえる。 予測する目的変数の設定については、交通事故の件数や被害程度など様々なものが考えられる。また、交通事故が必ずしも同一箇所で発生しないこと、事故の発生地点はその前後の空間に何らかの問題が生じている可能性があることなどから、単純な交通事故件数の推計モデルではなく、密度関数を用いた代替指標を構築している例も多い例えば12)。ただし、このような代替指標の場合、相対比較によって得られる結果となるなど、値そのものの絶対的意味が消失する。これは、対策の実施是非を検討するといった政策的視点においては大きな課題であるといってもよい。本研究の狙いは、あくまで政策支援ツールとしての活用にあるので、算定される結果に絶対的意味を持たせることが望ましいと考え、交通事故の件数そのものを予測するモデルの構築を目指すこととする。 図 2-5 豊田市の町別交通事故発生件数のヒストグラム(平成19年~23年)

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