ICTを活用した速度提示に関する社会実験(その2)
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36 6.今後の展開と課題 本年度実施した第1期の実験では、一定の速度遵守を促す効果があることは確認できた。さらに機器からの情報提示方法については一定の評価が得られたものの、不具合の発生や機器に起因するヒヤリハットの発生といった重要な課題が残された。特にインセンティブプログラムの対象者はISAアプリから提供される情報の精度を強く気に掛ける傾向が見うけられたことから、このようなシステムを「自動車保険料金のキャッシュバック」や「自動車税の軽減」といった施策とともに一般に導入・普及するためには、情報提供の高い精度が求められると考えられる。 現在、ソニー損保の「やさしい運転キャッシュバック型」のように、急発進・急加速を抑えた滑らかな運転に対して、保険料をキャッシュバックで還元するという保険が既に商品化されている。その車載端末は加速度を計測するのみのシンプルなものであり、本研究で開発したISAアプリのような複雑さはない。実用にあたっては、精度を高める方向とは別に、機能をシンプルなものにして、むしろ曖昧さを許容させる指標を用いるという方策も考えられる。 写真 6-1 自動車保険におけるインセンティブ機器 また、第1期実験の被験者数は20名と少なく十分な検証が行われたとは言い難い。さらに被験者はすべて30~50代の非高齢者であり、交通安全対策において重要な課題である高齢ドライバーに対する効果は検証していない。第2期実験は高齢者21名を含む28名の被験者により実験を進めており、第1期実験で収集したデータと併せた分析を平成27年度に行って行く予定である。

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