ICTを活用した速度提示に関する社会実験(その2)
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11 3.実証実験の実施 3-1.実験実施計画 開発した助言型ISAアプリを用いて、公道上での長期的な実証実験を行った。実験の具体的な目的は下記のとおりである。 • 助言型ISA の中長期的な利用による走行挙動変化を分析するためのデータを収集する。 • 助言型ISA による速度遵守行動促進効果に加えて、生活道路(ゾーン30 および幅員5.5m 未満の道路)を30km/h 以下で走行することに対する金銭的インセンティブを与えた場合(インセンティブプログラム)の、走行挙動変化および経路選択行動変化を分析するためのデータを得る。 • 金銭的インセンティブの与え方の違い(リワード;Reward,ペナルティ;Penalty)による走行挙動および経路選択行動への影響を分析するためのデータを得る。 • 金銭的インセンティブの大きさの違いによる走行挙動および経路選択行動への影響を分析するためのデータを得る。 • 助言型ISA 利用後の中長期的な走行挙動変化を分析するためのデータを得る。 実験は被験者に助言型ISAアプリをインストールしたスマートフォンを貸与し、日常の自動車利用において約5ヶ月間の利用を依頼した。開始からの2ヶ月間(Phase 1)は通常の走行特性を把握するために、速度超過警告などの ISA機能は OFF の状態で走行してもらいデータを収集した。次の2ヶ月間(Phase 2)は ISA 機能を稼動させた状態での走行データを収集し、最後の1ヶ月間(Phase 3)は情報提供が無くなった後の効果継続を検証するために再び ISA機能を OFF にした。 各 Phase の間には説明会を開催し、その場で運転特性に関する調査(DSQおよびWSQを使用)、画像による速度意識調査、ISAに対する意識調査、ISAアプリや機器に対する評価などのアンケート調査を実施している。加えて Phase 2 終了後に実施した意識調査において,金銭的インセンティブを想定した SP調査を実施している。 また Phase 2 では、助言型ISA機器を車載することの受容性を高める、あるいは規制速度遵守行動を促すインセンティブの検証を行うために、被験者の一部に対してインセンティブプログラム(走行に関するルール)を設定した。ルールはゾーン30および生活道路に対して適用し、その条件は「Reward」と「Penalty」の2種類を設定した。前者は規制速度を遵守することで謝金が増額し、後者は減額されるという仕組みである。 実験の流れと実施した調査内容、インセンティブルールの詳細内容を次の表に整理する。

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