ICTを活用した速度提示に関する社会実験(その2)
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9 2-2.機器運用の問題と対応 マップマッチング(MM)の精度と端末への負荷 ISAアプリは走行する道路の規制速度情報をドライバーに提供するものであることから、自車の走行位置をできるだけ正確に定める必要がある。そこでGPSが取得した位置情報を直近の道路リンク上に補正する「マップマッチング(MM)」をアプリ上で行っている。昨年度のシステム開発において適用した簡易なMMでは十分な精度が得られなかったため、カーナビ等の製品版に導入されているMMを適用し、精度を確保した。しかしこれによって開発費用が嵩むこと、端末機器への負荷が大きくなり、安価で低廉なスマートフォンでは動きが重くなりがちであること等の問題が生じている。 ISAアプリの動きをなるべく軽くするためには、端末上で稼働する他のソフトウエアをなるべく稼働させないようにする必要がある。加えて、ISAアプリ稼働によって消費される揮発メモリ(RAM)の領域を定期的に開放する必要があるため、例えばアプリ使用の合間にスマートフォンの電源を切るといった運用が必要となる。 必要なGPS機能の水準と機器選定 現在製品化されているスマートフォンのほぼすべてにはGPSが実装されている。GPSの主たる機能は現在位置の座標(緯度・経度)情報の取得であるが、それ以外にもさまざまな情報が提供される。本アプリで表示する速度情報は、GPSから取得するドップラー効果を利用して算出される速度であり、2点間の座標変位から算出する速度よりも正確なものである。今回の実験に導入したスマートフォンではGPS測位に問題は無かったものの進行方位の取得が途絶える不具合があり、そのためドップラー速度の取得に問題があった。このようなGPS機能の精度を一般のスマートフォンユーザーが実感する機会は少なく、製品上の規格水準が統一されていないと考えられるが、ISAアプリでは重要なデータであり機器選定において注意すべき点である。 当初導入したFT132Aは、低スペック機器を快適に稼働させるためにソフト的に独自の工夫が施されており、それら仕様によりGPS情報取得に問題があったことも想定され、機種依存の問題であり解決の可能性は無いと判断したため、不具合の発生していない一部の端末を残し、上位機種であるFT142Dを導入し実験に併用した。
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