ICTを活用した速度提示に関する社会実験(その1)
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3対する罰金を徴収するスピードカメラを応用し、速度遵守者に対して罰金分を抽選で与えるというもので、スウェーデンの交通安全協会(National Society for Road Safety)のサポートの下で実際に実施され、22%の速度抑制効果があったと報告されている6)。 海外のDSDSの研究成果は概ね効果が期待できるものが多いようであるが、一方で、実際の走行速度が規制速度とあまり差がみられない場合には当該システムの効果は限定的であること3)や、すべての運転者には速度抑制効果が働かない場合があることなどが課題とされている。特に前者の指摘は、DSDSは速度超過が常態化しやすい道路での効果が期待できることを示唆するものである。なお、わが国においては、府中ら5)や豊田都市交通研究所6)によりの生活道路における立証活動による速度提示の効果検証が試みられているが、生活道路におけるDSDSという観点では研究成果がみられない。 このような背景を受けて、平成25年度に(公財)豊田都市交通研究所、豊田工業高等専門学校、(株)キクテックの研究グループによりDSDSの効果を実験室環境で検証する実験をおこなった9)10)11)。結果として、図1-4に示すようにDSDSにより特に設置箇所下流側において平均速度ならびに85%タイル速度の速度抑制効果を確認している。 DSDSの導入効果を期待するためには、効果を高める情報提供内容や、効果の範囲を予測した導入すべき箇所に関する慎重な検討が極めて重要である。そのような検討については、その実際性を踏まえて実際の道路条件、交通条件など様々な要因の影響を受けるフィールドテストを通じて行うことが望ましい。生活道路におけるDSDSの導入が検討されていないわが国において、これらの点を明示することは少なくない意義があると考える。 図 1-2 海外のDSDS(左:イギリス(Wiltshire)での例3)、右:アメリカ(Bellevue)での例4))

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