ICTを活用した速度提示に関する社会実験(その1)
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2 図 1-1 本研究で使用するDSDSのイメージ 1-2.既往研究と本研究の位置づけ DSDSは、速度検知センサーが付帯することで走行車両に対して自車の速度情報を提供できる可変表示板であり、もともとは道路工事現場の安全確保の目的で使われる例が多かった。近年は海外においてスクールゾーンや生活道路の速度抑制を図る目的での整備が散見される。提示内容には様々なものがあるが、大きくは図1-2に示すようなイギリスなどで見られる図形や文字を用いた情報提供、アメリカなどで見られる規制速度と自車の速度を提示するものに大別される。いずれのタイプも導入路線における速度抑制効果が確認されている例えば3)4)。Godinez, R.4)はBellevue(Washington州)でのDSDS導入状況と成果について報告をしている。物理デバイスが導入できなかった箇所で2000~2004年にかけて20台のDSDSを導入され、結果として導入後1年が過ぎても全体として1~6mphの速度抑制(85パーセンタイル速度)が確認されたこと、ただし、 85パーセンタイル速度が規制速度+10mph未満の箇所では効果が認められなかったことなどが報告されている。 ドイツで行われた研究5)では、図1-3に示すように速度超過時の警告表示だけでなく、速度を遵守した場合にその御礼メッセージを提示するといった速度遵守に対するインセンティブ効果を狙ったものの検証がなされており、単に速度そのものを提示するより速度遵守効果があったことが示されている。 その他にも目を引く取り組みとして、フォルクスワーゲンが2009年に行った人々の活動を楽しくシンプルに変えるといったコンセプトを表彰するThe Fun Theory Awardで、受賞作品となったSpeed Camera Lotteryというものがある。これは、速度超過車両運転者に

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