平成25年度 走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
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53 5.まとめ 本研究は、ドライバー自身がスマートドライブを実践するための、説得力のあるスマートドライブの提案を目標に、市民の関心が高いと考えられる交通安全(ゾーン30の導入)とスマートドライブの関連性、次世代自動車とスマートドライブの関連性、日常走行における効果的な方法を明らかにすることを目的として研究を行い、以下の知見を得た。 第2章の生活道路のスマートドライブに関する評価 30km/hの遵守によって、ゾーン30地域を走行する際のCO2排出量は約3%削減される可能性がある。また、CO2削減価値、ガソリン代、時間価値、死亡重傷事故削減価値の便益分析を行った結果、CO2削減価値が全体の便益に占める割合は僅かであるが、年間0.8t-CO2の削減効果が得られる可能性がある。 第3章の電動車両のスマートドライブに関する評価 次世代自動車であるハイブリッド車や電気自動車でも、ガソリン車と同等以上のスマートドライブ効果が得られ、低炭素社会の実現に向けて、今後も、スマートドライブは、次世代自動車導入など様々な取り組みと合わせて、高いCO2削減目標の達成を後押しするツールとして期待されている。 第4章の日常走行における燃費改善要因の解析 スマートドライブの効果評価と効果的な方法の検証において、評価が課題となっている「日常走行」を対象とした評価方法を提案し、「走行前後の無駄なアイドリングストップ」や「早めのアクセルオフ」が燃費改善の主要因であったと考えられる。 スマートドライブによるCO2削減施策は、一部のドライバーがより高い技術を習得するというよりも、社会に広く普及することで全体として大きなCO2削減効果を得ることをねらいとしている。本研究の結論として得られた「走行前後の無駄なアイドリングストップ」や「早めのアクセルオフ」は、比較的、ドライバーに受け入れられやすい方法であると思われることから、日常的に実践可能な効果的な事例として普及につなげたいと考える。また、環境・安全の両方の側面から、地域住民の連携の中でスマートドライブを推進してゆく仕組み作りを目指したい。 謝辞 本研究で用いたプローブデータは、交通工学研究会が実施した「CO2排出量の可視化技術の開発」の成果の一部である。なお、本研究の一部は、科学研究費助成事業の研究課題「速度マネージメントに着目したエコドライブ普及施策の評価に関する研究」(課題番号:24310116)として実施された。

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