平成25年度 走行実態に基づいたスマートドライブの提案に関する研究
41/84
39 4.日常走行における燃費改善要因の解析 4-1.解析の目的 社会実験などで日常走行を対象とした効果評価では、運転操作以外の様々な条件が影響するため評価が難しく、平成23年度に実施された「豊田市エコドライブ推進プロジェクト」においても、全体の効果は5.2%のCO2削減と実験走行に比べて小さくなった。市民へのスマートドライブ普及啓発の説得材料として、日常走行において効果が得られる効果やその方法を具体的に検証することが課題である。 そこで、日常の運転において、どんな運転方法が効果を出したのかを、豊田市で実施したエコドライブ社会実験のデータ(平成23年度豊田市エコドライブ推進プロジェクトのプローブデータ)から明らかにすることを目的とした。 4-2.社会実験の概要 本研究で利用した社会実験データが、どのような目的や方法で収集されたデータであるのかを示すため、社会実験の概要について簡単に述べる。 4-2-1.実験の流れとデータ収集項目の概要 2011年3月~12月にかけて、豊田市をフィールドとした社会実験「豊田市エコドライブ推進プロジェクト」が実施され、約270人が参加した。社会実験の流れを図 4-1に示す。はじめに、参加者は、参加者自身が所有する車にエコドライブ車載器を設置し、その後、日常生活で車を利用した。運転データは、車載器によって、常時、メモリカードに記録された。メモリカードに収集された運転データは、参加者がパソコンを使ってデータサーバへアップロードを行った。運転データに基づきWeb上で閲覧可能なエコドライブ診断結果が提供され、参加者はエコドライブ診断結果を参考にして、さらなるエコドライブの実践を目指すというのが社会実験の流れであった。なお、データのアップロードとエコドライブ診断結果の確認は、少なくとも、1週間に1回以上の頻度で行うように参加者に依頼した。 運転データとして収集したデータ項目は、速度、燃料消費量、緯度、経度などであり、1秒毎のデータが記録された。エンジン回転数、ブレーキ信号、エアコン利用状況などの項目は、車種によって収集できないものもあった。最終的に、全参加者の延べ運転時間は59,290時間に達し、膨大な運転データが収集された。
元のページ
../index.html#41