平成25年度 公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究
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公共交通としてのタクシーの活用可能性に関する基礎的研究 企画書 公益財団法人 豊田都市交通研究所 ■年度当初の研究計画 背景 と 目的 近年、自治体や地域に関わる各種の組織が生活交通の確保策に主体的に取り組む体制が整えられ、様々な地域公共交通サービスが展開されている。それらの多くは、バス車両を用いた乗合事業(主に道路運送法第4条に基づくもの)として展開されているが、運行形態が効率的とは言い難い事例も散見される。タクシー事業者の参入により、セダン型車両を用いた運行やデマンド形式での運行もなされているものの、タクシー事業者の持つ資源(人・組織・車両)が地域公共交通確保において十分に活かされていないのが現状である。 一方、タクシー事業をとりまく環境は、2002年の規制緩和以降の新規参入によって車両過多な状況となったことを受け、いわゆる「タクシー新法」においてタクシーを公共交通に位置付けることで車両や運賃を適正化するしくみが規定されたが、それを検討するための地域協議会では「いかに減車し、いかに生き残るか」という議論に終始し、公共交通としてのタクシーの可能性を検討する動きは不十分な状況にある。タクシー本来の利点である「door to door」「少量個別輸送」「24時間対応体制」等の面を活かして地域公共交通の確保を図ることは、地域全体の公共交通システムにおいて効率的・効果的なサービス提供につながると考えられるが、そのために必要となるタクシー事業に関する研究は、法制度や経営面については取り組まれているものの交通工学的観点からの研究はあまり行われていない。 そこで本研究では、地方都市(「流し」が行われていないような中規模都市)を対象として、①現状(運行実態、配備車両数、乗務員数など)を分析するとともに、②タクシーを活用した地域公共交通施策・取組に関する先進事例を整理した上で、③それらタクシーの資源と利点を活用して(地域公共交通として)何が実現できるのか、検討する。 なお調査期間は2ヶ年を予定し、具体的な活用方策の検討と提言は2年目に持ち越す。 内容 (1) 既往研究・調査のレビュー ・ そもそもタクシー事業とはいかなるものか、業界の現状、なども含めて文献調査。 (2) タクシー事業の現状把握調査 ・ 経営実態、設備状況、配車実態に加えて、経営者の意識調査を実施。 (3) 地域公共交通におけるタクシー活用事例の整理 ・ H22実施の全国自治体調査から、特徴的な事例に関してヒアリング等詳細調査実施。 (4) 活用方策の検討 ・ 必要に応じて運輸局、事業者(タクシー協会)等を召喚し議論の場を持つ。具体的な提言は次年度。 ※名古屋大学 加藤博和准教授との共同研究 成果 公共交通としてのタクシーの活用に対する提言(国、地方自治体、タクシー業界に向けて) 資料1 68

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