平成25年度 スマートハウスを生かしたエネルギーマネジメントに関する基礎調査
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28資料 3-5 長崎EV&ITSプロジェクト視察報告書(続き) これまでに、電欠になった観光客は3名いるとのことであった。ただし、長崎EV&ITS初年度に発生したものであり、ここ2年間では、電欠トラブルはないとのことであった。 電欠等のトラブルを防ぐため、貸出し時に、EVの説明をしっかり行う。また、観光ルートを決めている観光客には、どのタイミングで急速充電を行うかアドバイスをしているとのことであった。 EVレンタカー利用者の反応としては、「環境に優しい」、「音が静か」、「加速が良い」など、EVを良く評価する声が大半であるとのことであった。 5.まとめと所感 環境分野の自主研究②「スマートハウスを生かしたエネルギーマネジメントに関する基礎調査」に関連して、交通とエネルギーシステムの連携に取組む世界最先端事例「長崎EV&ITS(エビッツ)プロジェクト」を視察した。 奈留島、福江島では、観光の足としてEVが利用されており、「EVレンタカーの導入による未来型ドライブ観光システム」は、概ね、成功していると思われる。 特に、福江島では、島を周遊観光するために、1回ないしは2回の急速充電が必要になるが、観光要所の近くを中心に、6カ所の急速充電器が導入されており、見学や休息の間に充電が可能となっている。また、ここ2年間に、電欠トラブルは発生していないようである。 「EVと再生可能エネルギーシステムの連携」に関して、五島市では、陸上風力発電を中心に、市内電力需要の約15%を再生可能エネルギーで賄っている。これは、日本全体の平均値1.6%(水力を除く)と比較すると9.4倍である。今後、浮体式洋上風力発電の導入などでさらに再生可能エネルギーの割合が増えることが予想され、EV導入による低炭素化の十分な裏付けになると思われる。 「次世代型カーナビITS」については、利用者側からみると利用が難しい、情報発信側からみると新しい情報更新が手間であるなど、今後の改善が必要であると思われる。 個人的には、EVはガソリン車の完全な代替にはならないと考えている。しかし、地域や用途を限定すると、十分に実用的な移動手段となりうることが体感できた。ただし、EVの価格が高い現時点では、経済的な政策も必須である。 再生可能エネルギーについては、EVとの連携を目に見える形で強調してはいなかった。ただし、九州電力に全量売電されており、EVに限らず活用できている。一方で、豊田市実証住宅のスマートハウスでは、太陽光で発電した電力を中部電力に売電できないという事情がある。このような状況は、現在の固定買い取り制度で保証された10年間の後を先取りしているとの見方もあり、再生可能エネルギーと系統電力との連携については、今後も、注意深く動向を探る必要がある。 五島市役所の村井氏、三井氏には、一般的なEV&ITSプロジェクトの概要から、作成中の五島市エネルギー基本計画に盛り込まれる再生可能エネルギーの内容まで、予定時間を大きく超え詳細な内容を教えて頂いた。今後も、情報交換ができる良い関係を築いていきたい。また、豊田市役所にも様々なデータが蓄積されており、これらデータの活用も視野に、さらに、豊田市との連携も強化したいと考える。 以 上

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