平成25年度 スマートハウスを生かしたエネルギーマネジメントに関する基礎調査
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16資料 3-1 海外のスマートシティレビュー(続き) 174-4米国コロラド州ボルドー市◆実証実験を支える研究所米エネルギー省傘下の『国立再生可能エネルギー研究所』(コロラド州ゴールデン)は太陽光や風力などの発電技術の研究を推進し、スマートグリッド(賢い送電網)の実用化に力を入れる。研究所の目的は、「クリーンでお金がかからないエネルギー技術を提供すること」。具体的には、4つの課題がある。①エネルギー利用の効率を上げる②コストを下げる③信頼性を高める④様々な新しいエネルギー技術を統合(インテグレート)する技術を生み出す。この4つ目が新しく、先の3つを網羅した課題となるスマートグリッドである。「スマートグリッドには技術要素が3つある。(1)送電網を監視する技術(2)送電網の状態について常時、迅速に双方向でデータをやりとりする通信技術(3)データをもとに意思決定し送電網を制御する技術184-4米国コロラド州ボルドー市●コロラド州ボルダー市をはじめ、各地でスマートグリッドの実証実験が始まっていますが、導入効果はみえてきましたか。⇒「米国の電力業界には『顧客から苦情の電話をもらうまで停電が起きたことがわからない』という冗談がある。それほど送電網の監視能力に欠けておりトラブルからの復旧に時間がかかる。ボルダーでの実験で、まず電力会社のエクセル・エナジー社が導入したのは変電所や変圧器など送電網を監視する機器だ。これによって送電網が堅牢(けんろう)になり、トラブルにあたって電力会社は問題の場所を迅速に特定し早期に復旧できるようになった。機器の状態を把握し予防的にメンテナンスにあたることもできる。実際にボルダーの停電発生は減り、停電時間は短くなり導入の効果が出ている」「これから先を考えると、再生可能エネルギーの導入拡大に対応できるようにすることが大事になる。電力の供給はこれまで負荷(需要)に対応して発電してきたが、これからは正反対にパラダイムが変わる。発電量が変動する再生可能エネルギーに対応して、負荷を調整することが必要になる」●ボルダーの実験では電気料金の引き上げをめぐって論争が起きていますね。⇒「スマートグリッド建設のコストをだれが払うのかが、大きな問題だ。送電網の監視能力の充実で電力サービスの質は上がったはずだが、一般の消費者にはその恩恵はみえない。米国では電気料金は1キロワット時あたり3セントほどで安価だ。これでは現実問題として、例えば需要ピーク時にドライヤーの使用を控えるといった消費行動の変化を価格インセンティブで実現するのは、なかなか難しい。ボルダーではエクセルが料金を引き上げたことから、スマートグリッドの恩恵を感じていない消費者から苦情が出ている」

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