道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
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40 (2)ヒアリング結果のまとめ 知的障がい者が抱える移動の課題および支援などについて、ヒアリングを行った3つの団体で共通して次の3点が挙がった。 • 「障害の程度」、「教育過程」、「経験の程度」により課題が千差万別 • 重度の当事者の場合、目印は認識できない(言葉で話しかけると反応) • 現状の社会やシステム(環境)に合わせられるような教育・支援を実施 また実証実験を行うにあたり、表 3-6に示すような交通コミュニケーションの課題と対策案を明らかにすることができた。これらの視点を踏まえて調査内容を検討する。 表 3-6 ヒアリングで明らかとなった交通コミュニケーション課題と対策案 交通コミュニケーションの課題 道路 ① 車道と歩道の区別がつかない(歩道が無い道路の路肩をはみ出て車道に) ② 気になるところはジグザグに歩く(商店街など) ③ 信号を判断できない ④ 信号現示の表示方法(歩車分離)やマークの違いに対応できない ⑤ 横断前はどこで停止すればよいか分からない(特に横断歩道が無い狭い交差点) 公共交通 ① ホームに降りようとする子がいる ② 自閉症の子は単独行動をしてしまう ③ フラフラ歩くので電車とホームの間に挟まる危険性(足元をみていない) ④ ICカードは有効だが、介助者分の料金などは窓口まで行かなければならない 対策案 ① 軽度の知的障がいであれば空間整備が有効かもしれない ② 重度であれば横断歩道の前の踏切が有効かもしれない ③ 視覚や色で訴えかけることは有効ではないか ④ 交差点横断前に足跡マークを付けると有効ではないか

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