道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
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38 3-4.実証実験による交通コミュニケーション能力の検証 3-4-1.実証実験に向けた課題整理 (1)ヒアリング調査 知的障がい者の日常生活を支援する特別支援学校や社会福祉法人などにご協力をお願いし、知的障がい者の移動に関する課題や実証実験の実行可能性に関するヒアリングを行った。ヒアリング調査概要(調査日・質問)と結果を表 3-3~表 3-5に示す。 表 3-3 社会福祉法人 輪音へのヒアリング 調査日時 平成25年7月26日 16時~17時 調査対象 社会福祉法人 輪音 生活支援部(さくらの杜) 施設紹介 ・障がいのある方の在宅にて、入浴・調理・掃除等のヘルパーを派遣 ・さくらの杜の建物内の利用(一時預かり)、宿泊、公用車による送迎サービス(会員制) Q1 歩道や車道を通行しているとき危険に感じていること ・ 信号を判断できない ・ 車道と歩道が分からない ・ 白線を出てしまう(歩道が無い道路の路肩をはみ出て車道に) ・ 気になるところはジグザグに歩く(商店街など) ・ 軽度の知的障がいであれば空間整備が有効かもしれない ・ 重度であれば横断歩道の前の踏切が有効かもしれない Q2 公共交通乗車時に危険と感じること ・ ホームに降りようとする子がいる ・ 自閉症の子は単独行動をしてしまう ・ フラフラ歩くので電車とホームの間に挟まる危険性(足元をみていない) ・ ICカードは有効だが、介助者分の料金などは窓口まで行かなければならない Q3 指示・指導方法+理解度 ・ 障がい者の生きにくさ、サポートのやりずらさを感じているが、現状の中でやりくりしている ・ 特に不便さは感じない ・ 時間がかかっても遠回りし、歩道を優先に歩いている Q4 知的障がい者が移動しやすい環境とは ・ 健常者が知る理解 ・ 社会との接点をもっと作っていくべき(さくらの杜が窓口など) Q5 知的障がい者の移動(交通コミュニケーション)を明らかにする実態調査について ・ 帽子をかぶって調査を行うことは難しいのではないか ・ クルマが危険かどうか認識しているかは分からない ・ 家族を巻き込み、フィードバックできるような取組み(調査)にするとよい ・ 言葉づかいに気を付けるべき、家族同伴がよいのでは

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