道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
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2 以上より、本研究では、特に知的障がい者にとって課題となる道路交通環境下における交通コミュニケーションについてその実態を明らかにし、それを応用した知的障がい者のための社会基盤整備の方向性を示すことを目的としている。 表 1-1 わが国における障がい者数(在宅の場合、平成23年度障害者白書より) 種別 人数(千人) 知的障がい 419 身体障がい 内部障がい 1,091 肢体不自由 1,810 聴覚言語障がい 360 視覚障がい 315 表 1-2 知的障がい者の一般的特徴8) ・適応力が弱い ・判断力が弱い ・自律性が弱い ・学習に時間がかかる ・反復や固執性を持つ ・コミュニケーションがうまくできない ・感性が鋭い ・感覚に異常さを持つ場合がある 1-2.研究の方法 図 1-1に本研究の方法とその流れを示す。本研究は大きく2つの柱で構成される。一つは「知的障がい者の交通コミュニケーション能力を起因とする道路交通環境下での課題事象の把握」である。ここでは、まず知的障がい者の交通コミュニケーション能力を起因とする道路交通環境下での一般的課題事象について、主に関係機関へのヒアリングを通じて整理を行う。次にその課題事象の傾向を明らかにするため、豊田市福祉保健部障がい福祉課の協力の下、豊田市に居住する知的障がい者の介助者を対象とするアンケート調査を実施する。この結果を整理することにより、課題事象の特徴を整理する。 2つ目は「知的障がい者の道路交通環境下の交通コミュニケーション能力の測定」である。ここでは、まず交通コミュニケーション能力の測定方法について既往研究等の整理を通じて具体化し、前者で明らかとなった特徴的課題事象について模擬市街地における実証実験を通じて交通コミュニケーション能力の測定を行う。これらの成果より知的障がい者の交通コミュニケーション能力を応用した道路交通環境整備の方向性について検討する。

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