道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
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26 3-2-2.介助者の教育方針 21の介助者の教育方針を説明変数とする主成分分析結果、線形結合をしていた項目はなかった。ここでは道路交通環境下での課題同様、固有値2以上の第1、第2主成分を対象に分析を行う。第2主成分までの累積寄与率は47.7%で全体の説明力は高いとはいえないが、ここでは、得られる主成分から評価軸を探るという目的であるため、分析を進める。 表 3-2に主成分負荷量を示す。第1主成分はほぼすべての項目において主成分負荷量が高く、総合的な教育量を集約した主成分であることがわかる。この第1主成分と第2主成分の関係性を示した散布図が図 3-3である。これをみると、第2主成分はマイナス側に「危険な運転をする車や自転車が怖いため一人ではあまり外出させないようにしている」や「乗り降りなどのしくみが難しいため、電車やバスはできるだけ使わせないようにしている」などの外出抑制型の教育を表現する項目が集まっており、プラス側には、「一人でも自転車で外出ができるように、保護者や介助者と一緒に訓練をしている」、「電車に乗る際は、車両を間違えないように乗る時刻や位置を守るよう教えている」といった外出促進型の教育を表現する項目が集まっている。これより、第2主成分が「外出抑制型教育重視」と「外出促進型教育重視」という評価軸となっていることがわかる。 表 3-2 介助者の教育方針の主成分負荷量 変 数 設問項目 主成分1 主成分 2 1_a 危険な運転をする車や自転車が怖いため一人ではあまり外出させないようにしている 0.6092 -0.6744 1_b 歩道や車道がうまく整備されていないため一人ではあまり外出させないようにしている 0.6473 -0.6184 1_c 照明がうまく整備されていないため夜間はあまり外出させないようにしている 0.6105 -0.3112 1_d 事故などが怖いため一人では自転車に乗せないようにしている 0.6778 -0.4525 1_e 本人と一緒に道路を歩くときは、安全のため横に並んで歩いている 0.6275 -0.4533 1_f 自動車が多いような道路は歩道があっても通らないよう教えている 0.6086 -0.2727 1_g 歩道が無い道路では自動車をさけるため遠回りをしてでも安全な経路を通るよう教えている 0.5855 -0.0109 1_h 信号交差点を横断するときは、主に歩行者用信号を目印に進むよう教えている 0.5628 0.1827 1_i 自転車に乗るときは歩道があれば、歩道を走るよう教えている 0.3377 0.2672 1_j 一人でも歩いて外出ができるように、保護者や介助者と一緒に練習をしている 0.5392 0.2119 1_k 一人でも自転車で外出ができるように、保護者や介助者と一緒に訓練をしている 0.3755 0.3462 2_a 駅近くなど自動車の往来が多いところでは危ないので、できるだけタクシーを使わせないようにしている 0.6016 0.0368 2_b 住所、電話番号を伝えるだけではわからない運転手がいるため、できるだけタクシーを使わせないようにしている 0.6300 0.0690 2_c 乗り降りなどのしくみが難しいため、電車やバスはできるだけ使わせないようにしている 0.5384 -0.3039 2_d 運転手などの対応がぞんざいなため、電車やバスはできるだけ使わせないようにしている 0.5633 -0.2165 2_e 電車やバスに乗る際は、事前に切符や定期を買って本人に渡している 0.5409 0.1966 2_f タクシーや電車、バスに乗る際は、何かあったら運転手に本人の身分証を提示するよう教えている 0.4493 0.5226 2_g 電車に乗る際は、車両を間違えないように乗る時刻や位置を守るよう教えている 0.5368 0.5527 2_h バスから降りる際は、間違えないように降車ボタンの押し方や、ボタンを押すタイミングを守るよう教えている 0.5951 0.5188 2_i 一人でも電車に乗れるように、保護者や介助者と一緒に練習をしている 0.5465 0.5261 2_j 一人でもバスに乗れるように、保護者や介助者と一緒に訓練をしている 0.5849 0.5354 ※赤:主成分負荷量0.3以上、緑:主成分負荷量-0.3以下
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