道路交通環境下における知的障がい者の交通コミュニケーション能力の把握とその応用
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23 3-2.評価指標の構築 3-2-1.交通コミュニケーション能力 37の道路交通環境下の課題を説明変数とする主成分分析を実施した結果、線形結合をしていた項目はなかった。固有値のスクリープロットから、ここでは比較的説明力の高い固有値2以上の第1~第3主成分を対象に分析を試みる。なお、第3主成分までの累積寄与率は45.8%で全体の説明力は高いとはいえないが、ここでは、得られる主成分から評価軸を探るという目的であるため、分析を進めていく。 表 3-1に主成分負荷量を示す。第1主成分はほぼすべての項目において主成分負荷量が高く、総合的な交通コミュニケーション能力を集約した主成分であることがわかる。この第1主成分と第2主成分、第3主成分の関係性を示した散布図が図 3-1、図 3-2である。図 3-1をみると、第2主成分はマイナス側に「道路で車や自転車からクラクションやベルを鳴らされたときに自ら避ける行動がとれる」や「切符をなくすなど困ったことが起きても駅員や運転手にうまく伝えることができる」などの能動的意思疎通能力を表現する項目が集まっており、プラス側には、「歩道が狭いため、自転車にぶつかりそうになって怖い思いをすることがある」「駅員や運転手に早口で立て続けに話しかけられると混乱してしまう」といった課題となるような状況の経験状況を指し示す項目が集まっている。これより、第2主成分が「能動的意思疎通能力の高さ」と「課題経験の少なさ」という評価軸となっていることがわかる。これは、能動的意思疎通能力が高ければ、課題などを経験するほど外出が活発化することを意味しているものと考えられる。次に、図 3-2をみると、第3主成分はマイナス側に「歩行者と車の信号が分離された交差点など、ふだんと異なる仕組みで動く信号交差点では、混乱をしてしまう」や「駅で突然、電車の入るプラットフォームなどが変更されても気づかず目的地の違う電車に乗ってしまうことがある」などの突発的変化への対応能力を表現する項目が集まっており、プラス側には「歩道が無いため、車にぶつかりそうになって怖い思いをすることがある」「歩道の路面が凸凹だったり、段差などがあるため転んだことがある」といった第2主成分と類似する課題となるような状況の経験状況を指し示す項目が集まっている。これより、第3主成分が「突発的変化への対応能力の高さ」と「課題経験の少なさ」という評価軸となっていることがわかる。これは、能動的意思疎通能力同様、突発的変化への対応能力が高ければ、課題などを経験するほど外出が活発化することを意味しているものと考えられる。

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