通勤における自転車利用促進に関する研究
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1566.まとめ 促進・安全に関するまとめを以下に示す。 6-1.促進に関するまとめ · モニター調査参加者のうち自転車通勤への転換者16名中3名が今後も週3日以上のペースで、4名が週1~2日のペースで、6名が期間限定で自転車通勤を継続すると回答した。 · 週1日以上継続すると回答した7名中5名がSNSを利用したコミュニティで「他のモニターの自転車通勤状況をみて自転車通勤しようと思った」と回答していた。以上より、SNSを利用したコミュニティの構築は、自転車通勤をより身近に感じてもらい、楽しく自転車通勤を継続できる仕組みとして有効である可能性が高いと示唆される。 · 自転車通勤継続のモチベーションとしては、「健康増進」「交通渋滞からの解放」など、直感的に感じられる項目が主に挙げられていた。また、「ストレス解消や気分転換」などのモチベーションを新たに確認した。 · 雨や強風などの懸念事項は取り除くのが困難であるが、しんどい・疲れるなどの体力に関する懸念事項については、自転車通勤に慣れることで取り除くことが可能であることが確認できた。 · 安全面について懸念事項と感じないモニターが数名確認された。これは、自分だけは事故の加害者や被害者にならないと考えている人が少なからずもいるということであり、安全に関する情報提供やその提供方法について今後検討が必要である。 6-2.安全に関するまとめ · 参加したモニターは歩道の走行ルールに関する認識が低い傾向にあったが、調査期間の後半になるにつれ遵守するようになったモニターが増加した。交通安全講習会や安全に関する情報提供など今回のモニター調査参加による効果と考えられる。 · 交通安全講習会後に安全に配慮するようになった交差点での走行速度の変化について、12名中3名の走行速度が有意に低下する等、安全行動の向上が確認できた。 · 自転車通勤を体験することにより、弱者を守るルール(高齢者・子供の歩道走行、歩道での歩行者優先と車道寄り)や事故につながる危険行為(二人乗り・並走・飲酒・ライト)に関するルールの重要性が増加した。一方、車道走行やイヤホン禁止の重要性が低下した。 · 車道走行選択者は12名(本調査から歩道から車道に転換したのは2名)いたが、危険を感じると歩道に逃げる傾向にある。一方で、歩道走行選択者は9名いたが、車道走行を心がけているものの、歩道・車道の通りやすさにより走行位置を選択し、歩道が広ければ歩道を選択する傾向にあることが確認できた。 · 今回のようなモニター調査を通じて、常に自転車や安全に関する情報を共有することで、安全意識や安全行動が向上する可能性が高いことが確認できた。

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