生活道路におけるISAに関する研究
9/81

7 2-3.実験 2-3-1.方法 実験は、図2-3に示す愛知県みよし市にある中部トラック総合研修センターで行った。被験者は調査会社より派遣依頼された男性31名(内65歳以上15名)、女性29名(内65歳以上15名)の計60名である。平成25年12月2日、3日、10日、16日、17日、24日の計6日間で実施し、実験時の天候は晴れもしくは曇であった。調査は運転挙動と運転者意識の2種類を実施した。運転挙動調査では、ドライブレコーダを用いて前景や運転者の映像、速度、位置(GPS)、加速度(XYZ)、ブレーキ(スイッチ)などを取得した。運転者意識調査では、一般社団法人人間生活工学研究センターが提供するDSQ(Driving Style Questionnaire)、WSQ(Workload Sensitivity Questionnaire)による運転特性、運転時の反応特性との関係が知られているTrail Making Test、さらにDSDSの理解、効果、運転者や住民の立場からの受容性といった評価を伺った。 実験では既往研究を踏まえ、ドイツの実験3)で用いられたものを参考とした規制速度遵守時のインセンティブ提示機能を有したDSDS(以下、DSDS(文字))、アメリカで主に用いられる速度を直接提示するDSDS(以下、DSDS(速度))の2種類を用意した。DSDS(文字)では研究会での議論を踏まえてわかりやすさを考慮し、遵守時には「速度OK」、超過時には「速度オーバー」を提示した。加えて、比較検討のため何も情報提供がなされない条件(以下、何も無し)とともに、一般に街頭で見られるパトランプによる警告(以下、パトランプ警告)、最高速度標識のみ(以下、標識のみ)のパターンを用意した(図2-4)。DSDSならびにパトランプ警告時においては、提供情報の意味が理解しやすいように最高速度標識の設置も併せて行った。なお、実験回数の効率化のため、2つのDSDSは異なる場所(区間A(DSDS(速度))、区間B(DSDS(文字))に設置した。実験では、被験者は1名ずつ、それぞれの実験条件(何も無し、標識のみ、パトランプ設置+標識、DSDS設置+標識)別で上記のコースを走行してもらった。走行順序は最初の走行である「何も無し」を除いて表2-2の4パターンをランダムに組み替えて行った。 データの集計は、速度提示により影響が想定される最高速度規制標識の設置位置から対策(DSDS、パトランプ警告)を通過した任意の解析区間長を設定し、その区間長を一定間隔に分割し、その分割された箇所別の速度を把握することで、DSDSやパトランプ警告などの各デバイスの効果の範囲を明らかにする。 設定した解析区間長は、図2-5に示すように、ある程度の速度変化が確認できる最高速度規制標識から100m(60mの地点に電光掲示板等が設置)の区間とした。また、区間の分割はデータ抽出時の負担も考慮し10mとした。結果として、速度を記録するのは図2-6に示す全22地点となった。 分析は、既往研究での整理を踏まえ、次のように実施する。まず運転挙動の視点から、

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る