周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究
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5 上記の規準に則り、本研究では他地域での応用を考慮し汎用性の高い次のデータを活用した。まず幅員・管理区分については住友電気工業株式会社の拡張版全国デジタル道路地図データベース(ADF)を加工して開発した全国道路ネットワークデータセットであるArcGISデータコレクション道路網(平成22年)の「道路ネットワークデータ」を使用した。当該データセットにおける幅員情報は道路幅員であり、「幅員13m以上」、「幅員5.5m以上-13.0m未満」、「幅員3.0m以上-5.5m未満」、「幅員3.0m未満」というカテゴリで整理がなされている。よって本研究では、便宜的に「幅員13m以上」を幹線道路、「幅員3.0m以上-5.5m未満」および「幅員3.0m未満」を生活道路とし、中間的位置づけである「幅員5.5m以上-13.0m未満」は、管理区分や歩道の有無によって判断することとした。管理区分については県道以上を幹線道路とし、それ以外を生活道路とすることとした。歩道については愛知県が整備する地理情報システム用データセットである愛知県共用空間データ(平成21年)の「車歩道境界」を使用した。なお、本研究では便宜上愛知県共用空間データを用いているが、当該データ以外にもゼンリン社が提供するZmapなどのデータセット等でも同様のデータが提供されている。当該データと先の「道路ネットワークデータ」を統合するため、車歩道境界データについて任意距離のバッファを作成し、そこに重複する道路ネットワークデータに歩道の有無を付与している。なお本研究で使用する車歩道境界データはline形式のデータなので端部(ノード部)にもバッファがかかり、接続している歩道のないリンクも選択されてしまうといった技術的課題が生じた。よって、車歩道境界データの中心点をGIS上で作成し、その中心点から任意距離のバッファを作成し、そこに重複するベースデータに「歩道あり」のタグを付与する形で対応することで上述の課題の回避に努めている。ここでは、「幅員5.5m以上-13.0m未満」で管理区分で市道と判定された「道路ネットワークデータ」のうち、比較的道路の規格が高いと予想される歩道のあるものを幹線道路、歩道のないものを生活道路とした。 このように整理した結果について概観したところ、新たに中山間地域における交差点によって結ばれる区間(リンク)においては市道でかつ歩道が整備されない区間が多く散見されるといった課題が見られた。この課題に対処するためここでは、特に中山間地域に多い長大なリンクを幹線道路と位置づけることとした。なお幹線道路の判定には、図2-1~6に示すような0~500mまで、100mごとのリンク長による感度分析を行い特に郊外部におけるリンク状態を観察し、幹線道路に該当すると思われる適当なリンク長(200m)を目視により導き出した。図2-7本研究における生活道路と幹線道路の分類の考え方を整理したものである。図2-8はこの考え方を下に導き出された本研究における幹線および生活道路のネットワークである。当該方法によりある程度の幹線、生活道路の分離ができたといえるが、ネットワークとしてみた場合、幹線道路の不連続区間がいくつか散見される。本研究は生活道路の理想性能の集積程度などよりマクロ的に面的速度規制を実施する優先エリアを推定するモデルを構築することに主眼があり、幹線道路のネットワーク構造の保持がかならずしも必要とされないと考えることができるため、性能計算において多少の誤差は含まれ

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