周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究
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3 のアクセス道路として供用されるものであること、道路幅員が狭いこと、自動車交通量に対して歩行者交通量が多いこと、地域住民が日常生活で利用する道路であること、といった特徴が浮かび上がる。 次に、関係機関における使用上の定義について、ここでは一般社団法人交通工学研究会が発行する「生活道路のゾーン対策マニュアル」および警察庁が平成23年3月に作成した「生活道路におけるゾーン対策推進調査研究報告書」から確認する。両者では生活道路を次のように定義している。 ・「生活道路」とは、地区に住む人が地区内の移動あるいは地区から幹線道路(主に国道や県道などで通過交通を担う道路)に出るまでに利用する道路です。(生活道路のゾーン対策マニュアル) ・本調査研究における「生活道路」は、「主として地域住民の日常生活に利用される道路で、自動車の通行よりも歩行者・自転車の安全確保が優先されるべき道路」とする。(生活道路におけるゾーン対策推進調査研究報告書, p.1) 生活道路のゾーン対策マニュアルでは、主に利用のされ方から定義をしているのに対し、生活道路におけるゾーン対策推進調査研究報告書では、利用のされ方に加えて歩行者、自転車の安全性確保が優先されるべき道路という表現がなされている。この生活道路におけるゾーン対策推進調査研究報告書における歩行者、自転車の安全性というキーワードはこれまでの定義では見当たらない特徴的なものである。 次に、計画論における定義について、鹿島出版会より1989年に出版されたわが国の生活道路の先駆的計画論が記された「人と車[おりあい]の道づくり-住区内街路計画考」から確認する。本書では生活道路に相当する表現として「住区内街路」という表現が使用されており、その定義は次のようである。 ・「住区内街路」の定義(中略)は「住区」内部に在る街路の総称である。すなわち、近隣住区論とブキャナン・レポートを応用すれば、それは ①無用な通過自動車交通のない、 ②歩行者など路上の人に対して自動車交通の無害化の進んだ、 ③屋外生活空間としての機能も果たしうるべき街路 である。(人と車[おりあい]の道づくり, p49) 記載される定義の中で、無用な通過自動車交通のないこと、屋外生活空間としての機能も果たしうることという指摘があり、これらはこれまでの定義では見当たらない特徴的なものである。 以上のように、用語としての定義、関係機関における使用上の定義、計画論における定義という視点から生活道路は共通して認識されているものもあれば、それぞれの整理の視

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