周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究
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26 5.生活道路の周辺土地利用状況と現況性能からみた面的速度抑制対策箇所の優先順位付け 5-1.方法 上述方法により選定された、同一のものを除く全18の周辺土地利用状況からみた重要度の評価指標と理想性能からの乖離度の評価指標を用いて、各生活道路の対策優先順位からみた総合得点を算出する。総合得点の算出方法は様々なものがあるものの、ここでは、多様な指標から得られる情報の集約に用いられる主成分分析、特に総合的傾向を示す第1主成分の主成分得点を通じて算定することとする。 5-2.結果 5-2-1.総合得点化に向けた評価指標の検証 全体の総合得点を算出するに先立ち、それぞれ選定された評価指標が適切に集約されるか否かについて評価視点ごとでの主成分分析を実施することで検証した。評価視点別の固有値と寄与率の結果を「安全な土地利用」の寄与率が最も高くここで選定された指標の方向性は比較的統一されていることが伺える。他方、「走行速度抑制性能」の寄与率は最も低く、指標間の方向性にばらつきがみられることが伺える。図5-1〜5-4にそれぞれの評価視点の第1主成分負荷量を示す。指標間の関係性からほとんどの指標が当初と予想どおりの方向性を向いていることがわかるが、道路幅員のみ、当初の想定と異なる結果を示している。図5-3をみると、沿道施設密度や区間長の傾向から主成分負荷量が正の値である場合、走行速度が抑制される総合指標になっていると予想されるが、この仮定で道路幅員をみると幅員が広いほど速度が抑制されるという逆転の傾向となっている。この理由を探るため、図5-5に示す道路幅員データの全体傾向をみると、道路幅員としては5.5m未満と5.5m〜13m未満の2段階でかつ5.5m未満の道路が生活道路の大半を占めているなど道路幅員による分析に耐えうる感度が保たれているとはいえないことが予想される。以上を踏まえ、総合得点の算出に当たっては、道路幅員のデータは対象外として分析を行うこととした。

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