周辺土地利用と生活道路の理想性能を考慮した面的速度抑制対策箇所の選定方法に関する研究
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11 3.周辺土地利用状況からみた生活道路別重要度算定指標の選定 生活道路別の重要度の算定にあたって、周辺土地利用をどのように評価する指標を構築するかを考慮してみると、「安全」と「安心」の両立が一つのキーワードになると考えられる。ここで、「安全な土地利用」とは、構造的に交通事故が起こりづらい土地利用的特徴を有していると考えることができ、「安心な土地利用」とは地域が安全性を担保すべきであると意識する土地利用的特徴を有していると考えることができる。 本研究ではこの2視点での評価指標の構築を試みることとする。 3-1.安全な土地利用の観点からみた重要度の算定指標の選定 3-1-1.既往研究の整理と本研究での対応 土地利用と交通事故の関係性を捉えた既往研究をレビューしたところ、次のように整理することができた。まず、Noland, R.B., Quddus, M.A1)、Ladron de Guevara, F., Washington, S.P., Oh, J2)、Wier, M., Weintraub, J., Humphreys, E., Seto, E., Bhatia, R3)らが指摘している人口密度と従業者数である。人口密度が高く、従業者が多い地区では交通事故が多いことが示されている。また、Srinivas S. Pulugurtha, Venkata Ramana Duddu, Yashaswi Kotagiri4)の研究では住居が中心となる複合的な土地利用、都市住居、高層住居が該当する複合住居、商業、業務地域では交通事故が多いことが示されている。その他、Kim, K., Brunner, I.M., Yamashita, E.Y5)、Quddus, M.A6)らによって、貧困地域、自動車を持たない世帯の居住状況、経済産出量なども交通事故の発生と関連があることが明示されている。 これらの整理を踏まえ、本研究における安全な土地利用を代表する指標を選定する。まず、人口密度、従業者数については、国勢調査等によって対応が可能である。本研究では当該データについて、ESRI社の提供するArcGISデータコレクションスタンダードパックに包含される基本統計データ(4次メッシュ)を活用することで対応する。次に複合土地利用、都市住居、複合住居、商業、業務地域については、我が国の都市計画区域内で指定される用途地域である程度対応が可能であると考えられる。当該データは国土交通省が提供する国土数値情報にて参照可能な用途地域データ(平成23年度作成)を活用することで対応する。なお、貧困地域、自動車を持たない世帯、経済産出量などの指標については、我が国で一般的なデータセットとして提供されていないため、本研究では考慮しないこととした。 なおここで選定した指標はあくまで海外で交通事故との関係性が確認されている指標であり、我が国の実態との関係性については明らかにされているといえない。よって、本研究では各指標と我が国の交通事故の関係性を検証したのち、最終的に本研究で使用する指

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