平成25年度 中山間地域における高齢者モビリティ調査
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5 • オールド・ニュータウンのモビリティ戦略として、パーソナルモビリティの普及が活動機会の創出や社会参加の増幅に寄与するとの結果が報告された。これは実際にシニアカーを貸与した実験の結果であり、他者に気兼ねなく自力で移動することが可能となったことにより、パーソナルモビリティを利用してニュータウン内を移動する近距離トリップが増加したとの報告であった。 • 中山間地域における政策として、第一段階は交通施策(コミバス・乗合タクシー・デマンドなど)による対応、第二段階は生活関連施設の誘致・サービス改善、第三段階は集団移転も含めた居住地施策の順番になることが報告された。 これは自主研究においても懸案事項となっていたため、質疑応答にて各段階の基準の有無を伺ったところ、地理的要因・施設距離要因・人口や世帯数などの集落特性を用いて分析したが、基準となるような閾値が確認できなかったとのことである。しかしながら、高齢化が加速するわが国の社会背景を考えると中山間地域の政策メニューも含めた集落評価が必要になってくることが予想され、自主研究の意義・成果への期待が大きい。 また、中山間地域のモビリティを検討するにあたって重要な視点が「高齢ドライバー」であることを改めて感じ、「高齢ドライバーへの運転教育」や「免許の早期返納に向けた引き際教育」などのアプローチ方法も今後の重要な検討課題である。さらに、生活道路の事故対策に関する討議が行われ、速度と致死率の関係や警察庁と国交省が推進しているゾーン30整備、さらには規制速度の在り方に関する懇談会などの動きを基に、『生活道路の事故対策としては速度抑制が基本』となることが議論された。また、フロアから「速度抑制策(ハンプやシケインなど)は住民が反対する」との指摘が挙がったが、生活道路の事故対策を進める際の『住民が住民を説得することの有用性(鎌ヶ谷市の事例)』が紹介された。 シンポジウム表題「シニア社会とは…」 わが国では、「後期高齢者」などの区分・ネーミングがマスコミなどで騒がれ、高齢者という言葉自体に嫌悪感が抱かれるケースも想定される。 欧米では高齢者を敬い、senior citizenと称されていることから「シニア」という言葉を用いた。

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