平成25年度 中山間地域における高齢者モビリティ調査
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1 1.はじめに 1-1. 研究の背景・目的 豊田市における中山間地域内の移動手段の核は『地域バス』であり、行政支所・地元住民などで構成される協議会が中心となって運営されている。その運営方法・権限は地域に委ねられており、平成24年度に実施したアンケート調査(行政支所を対象)では運営協議会の活動状況に地域差がみられた。 一方、中山間地域では少子高齢化が進み、限界集落も抱えているため、地域の存続・最低限度の生活サービス提供に向けて医療機関等への送迎やひとり暮らし高齢者への移動費助成、買い物弱者対策など民間企業も含めて様々な事業や支援が実施されている。 このような中で、地域によって地域バスの運営における取り組みに差異はあるものの、どの地域でも同様に利用者数が伸び悩んでおり、サービスを維持していくために利用促進が課題となっている。しかしながら、特に潜在需要の少ない中山間地域では、闇雲に利用促進に取り組むのではなく現在実施されている他分野の様々な事業や支援内容を把握し、モビリティに対するニーズや公共交通の役割を明確にしなければ、今後の公共交通施策と地域の実情とに乖離が生じる可能性がある。また、今後更なるサービスの拡充が求められることが想定されるが、中山間地域のモビリティの実態を十分に把握できていない。 そこで本研究では、豊田市における中山間地域を対象に、行政や民間企業が実施している事業や支援内容の把握と、モビリティの実態調査を2カ年で実施し、高齢者対策としての地域バスの課題および中山間地域の実情・生活支援サービスを踏まえたモビリティ確保の方向性を提示する。研究の構成を図 1-1に示す。

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