交通事故の予防対策地点を効率的に抽出する手法に関する研究
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475.まとめ 本研究においては、ヒヤリハット調査による予防対策地点選定をより効率的に実施できるようにするために、リスクアセスメントの考え方を用いて事故危険地点を把握する手法について検討し、企業の従業員を対象としたヒヤリハット調査を実施した。 その結果明らかになったことを以下に列挙する。 1. 事故統計を用いて交通事故が発生した際に、死亡事故にいたる可能性を基準としてヒヤリハット事象の重篤度を計測する手法を提案した。 2. 調査協力者を確保するため、小島プレス工業株式会社の協力を得て、豊田市およびみよし市の4事業所に勤める全従業員(約1,600人)を対象としたヒヤリハット調査を行い、2市において1,283箇所のヒヤリハット地点および状況を特定した。 3. ヒヤリハット地点を、幹線道路での指摘か否か、小島プレス工業の事業所近辺の指摘か否かで分類し、その傾向について検討した結果、いずれも全体の傾向と異なる傾向を示すことが分かった。 4. 調査対象者の認識ではヒヤリハット地点の87%が日常的に危険を感じている地点であり、その多くは通勤時間帯に危険を感じているということが分かった。 5. 調査に参加したことによる意識の変化を見ると、通行経路の見直しには至らないが、注意深く通行しようという意識が高まった。 6. ヒヤリハット調査の結果を用いて事故の予防対策地点の抽出を行った結果、豊田市およびみよし市において19箇所の対策候補地点が抽出され、その対策メニューについても検討した。今後、現地調査の実施や道路管理者、交通管理者への状況提供などによって、より具体的な対策メニューの検討が必要である。 本調査においては、調査対象者が企業の従業員であったため、その事業所の周辺にヒヤリハット地点が多く見られる結果となり、市内全域をカバーして偏りのないデータを収集するという点で課題を残した。このため、今後道路の危険箇所をまんべんなく把握し、その改良につなげていくためには、なるべく多くの市民に調査協力を得る方法について検討していく余地がある。 一方で、本調査の結果を企業に提供することによって、企業の自発的な交通安全の取り組みを促したり、従業員の意識を高めたりすることに活用することが期待できる。このような活動に参画する企業を増やすことは、データを広く収集することが可能となるだけでなく、間接的ではあるが事故を減らすことにもつながることが期待できる。

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