面的速度マネジメントの実現に関する総合研究
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1 序章 はじめに (1)背景と目的 平成24年8月30日にゾーン30及び空間整備を伴った面的速度マネジメントが豊田市の桜町周辺で実施された。これまでの議論を踏まえ、実際の効果について科学的視点から明らかにしていくことが望まれている。他方、面的速度マネジメントの実効性を高めていくためには、空間からのアプローチに加え、速度決定要因となりうる車両側の側面や人的側面からの新たな視点からの提案が必要である。平成23年度は車両側からのアプローチとしてISA(Intelligent Speed Adaptation)、人側からのアプローチとして、立哨による速度提示活動の効果について検証を進めてきた。平成24年度はこれらについて更なる展開を進めるものである。 具体的には、面的速度マネジメントの効果測定を行うと共に、ISAについては速度の強制介入(マンダトリーモード)の視点からDSを用いた検証を実施する。また立証活動については、地域の実態への展開をイメージした課題について意識調査を実施する。 なお本研究はそれぞれの研究が独立して結論を導いており、便宜的に総合研究として編纂したものである。よって、全成果を総括するまとめというような整理は実施しない。 (2)内容 本研究の内容を以下に示す。 1)ゾーン30の実証効果測定と検証 平成24年8月30日から運用される豊田市のゾーン30の整備効果について、特に対策の効果の視点から整理する。 ①ゾーン30の概要 警察庁が通達したゾーン30設定の概要を整理するとともに、豊田市におけるゾーン30設定の概要を整理する。 ②空間変化による注意喚起効果の把握 豊田市のゾーン30では、主に出入口部のカラー舗装化、標識設置、出入口付近におけるハンプの設置が実施された。このような空間変化が運転者の注意喚起に与えた効果について、運転時の首の動きを計測できる機器を用いた調査を中京大学心理学部との共同研究により実施することで明らかにする。 ③道路利用者および住民意識変化の把握 ゾーン30を実施することによって、住民および道路利用者にどのような意識変化があったのかを把握する。視点としては、空間全体に対する評価、個別対策に対する評価という視点とともに、対策の進め方なども評価を伺う。また住民が考える理想的な都市の道路空間についても把握し、ゾーン30との関連性も明らかにする。評価軸について安全面はさることながら、景観面、交通円

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