自転車利用時の交通安全に関する研究
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59 5.まとめと今後の展開 本研究では、自転車通勤促逭のために必要な安全性確保のために、特にソフト対策(道路利用者の安全意識へのアプローチ等)につなげる基礎研究として、通勤者を対象に自転車利用者などの安全意識(自転車走行位置や交通ルール、保険加入状況など)の実態や遀転挙動、周囲からみた自転車利用者に対する意識などをアンケート調査により把握した。本研究において得られた知見は、は以下の通りである。 ・ 自転車は車道を走行することが原則であるが、歩道がある2車線の道路の写真を見せどの位置を走行するか確認したところ、ほとんどの人が歩道と答えていた。その理由は、自転車は車道を走行することが原則であることの認識不足や、車道走行が原則と認識していても安全に走行できる歩道を択した人が多かったためと推測できる。 ・ 自転車が歩道走行時に歩行者を優先することを知っている人は8割を超えているにもかかわらず、歩行者が自転車を魔と感じている人は9割を超えており、自転車利用者が歩道走行時の歩行者優先する必要があることを認知しているものの、あまり守られていない現状が確認できた。 ・ 自転車がクルマを怖い(危ない)と感じているように、歩行者も自転車を怖い(危ない)と感じていること、また、クルマも車道を走行している自転車を怖い(危ない)と感じていることが分かった。クルマ・自転車・歩行者それぞれが、安全で心地よく道路を使うには、お互いに思いやりを持って利用することが必要と考えられる。 ・ 自転車利用時のルールについてその意識を調査した結果、自転車安全五則等のルールは認知されているものの、守しない人が多いことが分かった。これは、守らなくても問題ないという意識を持っている人が多いことを示しており、ルールの徹底のためにも、今後の安全教育・啓発や、警察による取締り対策の強化が必要と考えられる。 ・ 自転車保険に加入している人は、全体の16%と低かった。損害賠償が高額となるケースが見られるなど、自動車と同様にもしもの時に備え保険に加入しておくことが求められる。そのためにも自転車の点検を兼ねて加入できるTSマーク保険のなどについて、自転車利用者への周知徹底が必要となる。 ・ 自転車通勤の促逭には自転車レーンなどの道路整備が必要であることが確認できた。 今後、本研究で作成した自転車安全啓発冊子は、エコ通勤を逭める会の会員事業所等におけるモビリティ・マネジメント施策等に活用していく予定である。

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