交通事故の予防対策地点を効率的に抽出する手法に関する基礎的検討
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11.はじめに 国土交通省では、「事故ゼロプラン」を全国的に展開しており、交通事故ゼロに向けて、様々な視点から取り組みが行われているところである。中部地方整備局、愛知県警察が取り組んでいる『「愛知県事故ゼロプラン」(事故危険区間重点解消作戦)~事後対策から予防対策へ~』では、これまで実施されてきた「過去の死亡事故発生箇所から対策箇所を選定する事後対策」の考えから、「過去に発生した死亡事故の要因から対策箇所を選定する予防対策」の考え方へ転換し、一層科学的な分析と対策事業の「選択と集中」により、高い事業効果を目指すとしている。特に、予防対策の中で、事故の発生要因となる道路構造を総点検して事故区間リストを作成し、改善箇所を抽出する方法は大きな効果が期待できる。 しかし、都道府県道、市町村道を含む全ての道路について、総点検を行うには膨大な時間とコストがかかり、点検の優先順位づけが必要となる。 一方、通信技術の発達やGPS技術の普及によって、交通に関する様々な分野で、インターネットやGPSを搭載したプローブカーデータが活用されており、交通安全分野への活用が期待されている。 また、豊田市では、平成24年8月からゾーン30といった面的速度規制が導入されるなど、地域住民と関係団体が協力して交通安全を推進する機運が高まっている。 そこで、本研究では、昨年度に「豊田市エコドライブ推進プロジェクト」において収集したプローブカーデータを交通安全に活用するという観点から実施した「プローブデータを用いた交通安全評価に関する研究」に引き続き、今年度は、Webアンケートを用いて収集した市民が危険と感じている地点を把握し、交通事故の予防対策の観点から、対策を優先的に検討すべき地点を効率的に抽出するための基礎的な検討を目的とする。 2.既往研究のレビュー 2-1.ヒヤリハットマップの作成に関するレビュー 2-1-1.豊田市における住民アンケートに基づくヒヤリハットマップの作成 住民アンケートに基づくヒヤリハットマップの作成に関しては、全国的に多くの作成事例が見られるが、豊田市を対象としたヒヤリハットマップの作成に関して、以下の3つの事例があった。 (1)平成22年度 井郷地域交通事故発生状況等調査委託報告書 平成23年3月豊田市1) 豊田市の井郷地域を対象として、交通事情、事故発生状況を把握した上で、交通事故の特徴や課題を抽出・整理し、生活道路における交通事故抑止に効果的な対策案を立案するための基礎資料を作成すること、さらに、地域住民への説明及び交通安全対策の提案を行

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