面的速度マネジメントの導入効果に関する研究
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75 (2)運転時の性格による影響 上述の結果は、運転に関する個人背景によっても大きく影響されると考えられる。例えば、日常的にリスクを取るような運転を行っている人とそうでない人、すなわち、運転時の性格(1)によって影響に差が現れると想定できる。 運転時の性格の調査については、これまで様々な研究報告があるがここでは自動車安全運転センターの研究成果1~3)を参考に、運転に対する意識(運転行動、考え方)を調査した結果を基に算出する。この理由として、当該研究成果1~3)は比較的大規模に経年的にデータを取得しているということ、さらに後述するが、事故や違反の発生と運転者の性格について詳細な整理を行っているためである。 さらに、既存研究4)で算出された因子負荷量も用いて、今回の被験者における因子得点を算出し、その値を用いて運転時の性格による被験者群を分割することとした。 1)運転時の性格 既往研究4)で実施した因子分析の結果を表3-3-5に示す。その結果6つの因子を抽出していて、これらの因子による累積寄与率は55.29%である。ここでは因子の解釈をしやすくするため、斜交回転(プロマックス法)を行っている。各因子の命名は、自動車安全運転センターの研究成果1~3)を参考にしつつ、以下のように行っている。 因子1:攻撃的傾向(因子負荷量の高い変数:前の車がもたもたしていると、腹がたつ、ほかの車に並ばれると先に出たくなる等) 因子2:依存的傾向(因子負荷量の高い変数:前の車についていけば安心して右左折できる、他の車が道を譲ってくれるので、進路変更の時にあまり神経質になることはない等) 因子3:運転への価値傾斜傾向(因子負荷量の高い変数:目的がなくとも、運転すること自体が楽しい、運転は自分の生きがいの一つである等) 因子4:漫然・脇見運転傾向(因子負荷量の高い変数:運転中にぼんやりしてしまうことがある、脇見運転をすることがある等) 因子5:違反容認傾向(因子負荷量の高い変数:事故をおこすのは運が悪いからだ、車の運転で多少人に迷惑をかけるのはお互いさまだ、10km/h程度のスピードオーバーであれば危険はない等) 因子6:危険容認傾向(因子負荷量の高い変数:運転に危険はつきものである、どんな運転者でも、事故になりかけてヒヤリとすることがよくあるものだ等) 分析にあたっては、特にこれらの性格の中でも事故や違反に寄与しているものを対象とすることが望ましいと考えられる。前述のように自動車安全運転センターの研究成果3)では、各性格の強さと事故や違反の過去三年間の発生件数の関係について整理している。その成果を活用し、当該傾向が強い場合に事故や違反の経験が多くなる性格として「攻撃的傾向」、「依存的傾向」、「漫然・脇見運転傾向」、「違反容認傾向」を選定した(2)。

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