面的速度マネジメントの導入効果に関する研究
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25 ②速度が30km/h以下となった車両数増加効果の持続 ここでは、実験中に規制速度である30km/h以下となった車両数の増加効果がどの程度持続するのかを検証する。図2-1-6に結果を示す。 これをみると、すべての区間で事後の30km/hの車両割合は事前のものより増加していることがわかる。この差に科学的に意味があるか否かを確認するため、統計的な検定をおこなったところ、有意な差があるとはいえなかった。すなわち、規制速度を越えた車両に車両の速度を示すことで、速度を規制速度以下に落とす効果があったが、1週間後までにはその効果が持続するとはいえないことが示された。しかしながら、区間を通じて全体的に規制速度以下で走行している車両が増えたことは事実であり、実験をさらに追加することで科学的な裏付けをとっていくことが望まれる。 0.000.100.200.300.400.500.600.700.800.901.009-0m19-10m29-20m39-30m49-40m59-50m30km/h以下の車両割合実験中に速度提示した位置からの距離事前(n=21)事後(n=32) 図2-1-6 車両速度の変化 3)まとめ 以上のように、今回の結果は、このような規制速度以上で走行する車両に速度を提示して速度低下を促した場合、その提示位置に近いところで、顕著に速度を低下させることができたといえる。ただし、その効果は、1週間が経過した段階では消失していることがわかった。規制速度以下で走行する車両の割合は1週間後においても全般的に多いため、実験を積み重ねることで、科学的な裏付けを得ていくことが重要であることが示された。

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