鉄道(レールバス)廃線前後の行動・意識の変化
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28 4. まとめ 今回の調査は、数年前に鉄道(レールバス)が廃線となった過疎地域(山間部)の現状を確認し、今後の公共交通のあり方を考えるために、その地域(3地区)の特性を鉄道(レールバス)廃止前後の意識や行動の変化をアンケートにより明らかにしようとしたものである。 まず、アンケートを実施する前に選定した3地区(猿投地区、石野地区、足助地区)のどこを対象にするかをその地区の代表者と面会し検討をした。代表者との検討の中では、その地区の状況をヒアリングさせていただき、各地域の状況をある程度想定したもの(仮説)を考えるとともにアンケート調査の設計(内容づくり)をする上での参考とした。結果的にはアンケートの内容は、実際の意識の変化や行動の変化を確認する部分と、鉄道とバスに対するイメージの違いを確認することとして実施した。(付録のアンケート調査票を参照) アンケート結果を評価するにあたり、仮説を検証することや、回答結果より読み取れることが何かをポイントにしてまとめていった。 まず、各地区の想定した状況(仮説)についての検証結果は下記のとおりであった。 猿投地区は、住民自らの鉄道の利用者としてのデメリットは感じていないということについては、鉄道(レールバス)廃線に反対する割合と交通行動の変化した割合が3地区の中で一番低いことから立証できたと考えている。猿投地区においては、住民自らの鉄道の利用に対する問題より、地区外の人の移動を心配する(地区内の通過交通が増える、猿投駅から運動公園などへの移動が不便と感じる)住民が多いこともうかがえた。猿投地区は、現在も運行している鉄道の終着駅がある地区で、廃線となった方面への利用も少なく、その方面へ行く場合には車(マイカー)を利用することがほとんどであり、このような結果となったと考えられる。 次に、石野地区の仮説は、鉄道(レールバス)の廃線を不便(残念)と感じている住民がいる反面、現状のバスの利便性を以前より高く評価する住民がいると考えたが、鉄道廃線に反対する割合と交通行動の変化した割合が3地区の中で極めて高く、廃線に対する意識として不便さや残念さに対する気持ちが強いことがわかった。バスの利便性を高く評価する住民もいると考えた点については、病院に直通で行くことができるなどの目的にあった利用ができるようになった人の意見からうかがえた。 次に、足助地区の仮説は、バスが豊田市中心部や病院へ直通となった利便性を高く評価する住民の割合が高いということと、乗り継いで利用していた鉄道(レールバス)の廃線を残念がる住民がいると考えていたが、豊田市中心部へよく行くようになったという評価が3地区の中で一番良い点や、自由意見の中から現在のバス運行の利便性の高さを感じていることがうかがえた。乗り継いで利用していた鉄道(レールバス)の廃線を残念がっていると想定した点については、自由意見で鉄道が足助まで延伸するのを楽しみにしていたことなどがあったが現実的にはバスの運行が便利になることを望む声が多く感じられ、想定とは違う印象をうけた。

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