通勤における自転車利用のあり方に関する研究
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2.自転車通勤の促進事例と研究の位置づけ 2-1. 自転車通勤の促進事例の整理 自転車通勤を促進するために各事業所でどの様な取り組みが実施されているかを把握するため、国土交通省 エコ通勤ポータルサイト5)にて紹介されている自転車通勤促進策(5事業所)について整理する。自転車通勤促進策の一覧表を表 2-1-1に示す。 促進策の内容をみると、①名古屋市・②フジキン・③ヤマハ発電機などで実施されている自転車通勤手当の増額や報奨金の支給などは、自転車通勤に対する『費用面』でのサポートであり、④シマノ・⑤ウィルフォード社は、駐輪場やシャワー室など事業所内の『設備面』でのサポートを実施している。その他の事業所における自転車通勤促進策の事例をみても、この『費用面』と『設備面』でのサポートが実施されている傾向にある。 表 2-1-1 自転車通勤促進策一覧 内容 結果 ① 名古屋市役所 職員に支給する自転車通勤手当を増額する一方、5km以内など短距離の自動車通勤手当を半額に改正 2000年に比べ、2003年には自転車通勤者が約50%増加し、マイカー通勤は約25%減少 ② フジキン (大阪府東大阪市) 自動車通勤の自粛期間に応じた報奨金を支給(自動車通勤を1年自粛した場合月額3,000円、3ヶ月で月1,500円の報奨金を支給) ・対象者670人中33人が制度を適用 ・通勤途上での交通事故が減少 ③ ヤマハ発動機 (静岡県磐田市) ・徒歩通勤手当(1000円)の新設 ・自転車通勤手当の増額 ・通勤バスの増便 ・電動二輪車のレンタル ・「リターンライダースクール」の実施 ・電子メールによる「エコ通勤実態調査」 ・68%が「エコ通勤に参加」と回答 (調査回答者7,351人) ・「リターンライダースクール」などが エコマインドの醸成に貢献 ④ シマノ (大阪府堺市) ・管理人付き駐輪場300台分を新設 ・電動空気入れや自転車工具を配備 ・個人用ロッカー ・男女別の更衣室・浴場を整備 ・従業員の3割が自転車で通勤 ・週3回以上自転車通勤した人では、 体重が平均で1.7kg、体脂肪は1.6%減少 ⑤ ウィルフォード社 (オーストラリア) ・駐輪場・自転車整備施設の提供 ・自転車通勤者用シャワー施設の設置 ・事業所による「自転車プール」の設置 自転車利用者が約2倍(18%→35%)に増加する一方、自動車利用者は12ポイント減(34%→22%)

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