通勤における自転車利用のあり方に関する研究
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自家用車の利用を控える取り組みに対する賛否意識は、「おおいに賛成(3%)」と「賛成(25%)」をあわせて約30%の方が賛成であった。実施の頻度としては、「1ヶ月に1回」が44%で最も多い。 賛成と回答した方の属性をみると、「年齢」では30歳代が28%で最も多く、前項で集計した通勤手当の改変と比較すると50歳代以上の回答者が多くなっている。また、通勤距離が近い方(「0~5km」)の回答割合が多いが、通勤距離が10km以上になる遠距離の方々の回答割合が多いことも特徴的であり、環境意識が高さ・渋滞への不満も賛成意識に影響していると考えられる。 4-7. 自転車通勤を行う上での課題に関する意識 自転車通勤を行う上での課題として、「走行環境」・「費用」・「運転マナー(安全面)」・「施設や設備」・「自転車保有状況」の5つを設定(表 4-7-1)し、それぞれの課題を改善するための促進方策について、促進方策の重要度と課題改善のための優先順位を伺った。方策別重要度の集計結果を図 4-7-1、優先順位別の集計結果を図 4-7-2に示す。 表 4-7-1 課題と促進方策 課題 促進方策 方策の内容 走行環境 走行環境整備 道路の拡幅や自転車専用レーンなどの整備 費用 通勤手当 自転車通勤者への通勤手当の新設・拡充 運転マナー(安全面) 自転車運転講習 運転方法やマナーを徹底させる 施設や設備 施設整備 勤務先の駐輪施設やシャワー室を整備 自転車保有状況 自転車配備 駅やバス停などと勤務地の間で、自由に利用できる自転車の配備 方策別の重要度は、全ての方策で重要と回答している方が6割を超えているが、「走行環境整備」を非常に重要と回答している方が最も多く、続いて「自転車運転講習」である。また優先順位は、重要度と同様に「走行環境整備」を1位とした回答者が圧倒的に多い。 現在自転車通勤を行っている方とそうでない方で課題の感じ方が異なることが考えられるため、自転車通勤者(自転車通勤にしようと考えている方を含む)と自転車通勤者以外に分けて、方策別の平均優先得点を算出した。この平均優先得点は、優先順位が1位の方策を5点として順位が低くなるにつれて得点も少なくなるよう設定し、回答者の優先得点をグループ毎に算術平均した結果(表4-7-2)である。 方策別の得点の傾向(順位)は同じであったが、自転車通勤の方では、「通勤手当」と「施設整備」に関する優先得点が自転車通勤でない方より高くなっており、本研究で設定している課題の『費用面』と『設備面』でのサポートの必要性が高いことが裏づけられる。

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