地域公共交通に関する研究-2
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- 1 - 1.研究の目的と概要 近年、地域公共交通確保策として、多数の市町村がバスを主とした乗合交通の運営に直接的あるいは間接的に関与する状況にある。それらは「コミュニティバス」という呼称が使われる場面が多々あるが、当研究所では特に市町村(自治体)が主体的に運営にあたるバスであることを明示するために「自治体バス」と呼ぶこととしているが、その運営における行政と交通事業者との関係は様々である。多くの場合、行政が計画した運行内容に基づき、交通事業者が運行を受託するという形態であるが、旅客輸送のノウハウを持つ交通事業者の経営努力やサービス向上能力は、効果的・効率的運行に充分に反映されているか疑問である。 一方、豊田市では市が運営する「基幹バス」「地域バス」の運行委託において、交通事業者にとって経営努力のインセンティブとなる要素を包含した契約形態を平成22年度から導入したが、その手法が効果的・効率的運行につながるものであるか、その実態は把握されていない。 そこで本研究では、既往研究・調査等から自治体バス契約形態の実態を類型整理したうえで、豊田市の担当部署に対するヒアリング調査等に基づき、同市が自治体バス(基幹バス・地域バス)運行において導入した契約手法の現状を整理しながらその問題・課題を抽出し、効果的・効率的運行を実現するために望ましい自治体と交通事業者の関係、契約形態を探る。 2.既往研究・調査レビューと運行契約の類型整理 (1) 既往研究・調査レビュー ① 寺田一薫:転換期の自治体コミュニティバスにおける委託と補助,運輸と経済,第67巻 第3号,2007. 2006年に道路運送法が改正されたことを受け、その改正内容を解説するとともに自治体が運行するコミュニティバスがどのように位置付けられたのか、整理している。さらに、コミュニティバス運行における公民役割分担について、リスク配分の観点から整理することの必要性を訴え、その視点に基づき委託と補助の関係を分類し、特徴的な事例を紹介している。 ② 中野宏幸:英国のバス事業と新地域交通戦略-規制緩和下におけるコラボレーションの取り組み-,運輸政策研究,Vol.10 No.12,2007. 英国において進められている地域計画構造の変革の中で、新たな地域交通計画の評価と取り組みを解説し、地方行政レベルでの対応の方向性を論じている。その中で、ロンドンとそれ以外のイングランド地域におけるバス事業を取り巻く関係主体の役割を整理しているが、特にバス利用者数が減少しているロンドン以外の地域(ロンドンは増加)における主体間の関係上の問題・課題を指摘している。さらに、これら課題に対応すべく、2000年の交通法により導入された「品質協定制度」「品質契約制度」を提示しながら、良好なサービスを市民に提供するためにはいくつかの問題があることを指摘している。 ③ 溝上章志,藤見俊夫,平野俊彦:熊本都市圏におけるバス路線網再編とインセンティブ報酬モデルの制度設計,土木計画学研究・講演集,Vol.41,2010. 熊本市では、都市圏におけるバス路線網の再編を、運行主体の新設や運営方法の見直しを

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