地域公共交通に関する研究-2
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- 7 - (3) 豊田市へのヒアリング調査を踏まえた問題と課題整理 豊田市交通政策課へのヒアリング調査を踏まえて、同市が導入したインセンティブ契約の問題・課題を以下に列記する。 ■ 当初見込んだ「見積」の適正さ(プロポーザルの仕組みの問題) 運行委託は、3~5年間の複数年が対象となるが、プロポーザル時にそのトータルの見積額を提示することとなっている。このことは、人口減少や景気の変動、原油価格の変動など、不確定要素が多々ある中で、運行事業者に大きなリスクを背負わせていることになる。 例えば前項に示した路線Iの地域では人口減少が進んでいるが、これを考慮し5年間の収入を見積った場合、プロポーザルと雖も価格に関する得点も存在するとすれば、事業者としては低く見積もり難い立場にあると考えられる。 現在、年度協定において提示する金額は、プロポーザル時に提示した期間内トータルを単純に年数で除したものとなっている。年度毎の協定を結ぶのであれば、これを見直す機会、すなわち前年度の実績を踏まえて年度毎に目標を設定するような仕組みも検討の余地はある。 ■ 対象とする「収入」の捉え方 路線Iで生じた回数券販売と収入の捉え方は、整理する必要がある。インセンティブ契約におけるマイナス差額の算出には「みなし収入」を適用するのであれば、差額がプラスとなった場合にも適用すべきであろう。 一方、「販売網の拡大」は、運行事業者が収入増加に向けて努力できる事項の一つであろう。でるとすれば、当該地域に販売網を拡大した前事業者の努力は、いかなる場面で報われるのか、という議論も起こる。 ■ 見込との差額が生じる理由の明確化 見積額と実績値の差額が生じた場合、その理由を明確にする必要があるが、そのための仕組みが不在である。路線Iの事例では、2ヶ年目に市側が調査したが、これを本来は運行事業者側が調査し提示すべきなのか、あるいは市側が調査すべきなのか、議論が不足している。 当然、収入実績がプラスであった場合も、それが果たして事業者の努力によるものなのか、社会情勢の動向による外的要因によるものなのか、明らかにする必要がある。その仕組み不在では、真にインセンティブ契約として機能するものではないと言えよう。 ■ 事業者が「努力」する余地と機会 事業者は、プロポーザル時に営業努力する点をアピールする。実際に「バス停への照明設置」や「ポケット時刻表作成」「観光マップ作成」など、具体的な提案がいくつもなされているとのことだが、これらの進捗をチェックする仕組みが不在である。年度協定を交わす時に、これらをチェックするなど、収入差額以外の部分で何らかの評価によりインセンティブとなるメリットを事業者に与えうる仕組みの確立が必要であると感じる。

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