地域公共交通に関する研究-1
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1 第1章 はじめに 1.1 背景 豊田市では平成17年4月1日の市町村合併後の公共交通のあり方を示し、利便性の高い公共交通ネットワークを構築することを目的として、平成19年3月に「豊田市公共交通基本計画」が策定された。特に豊田市が運営に関わるバス交通(基幹バスおよび地域バス)については、客観的な基準に基づいた評価を定期的に行い、それを踏まえた見直し・改善を繰り返していく(PDCAサイクルによるバス運営)という方針を示し、平成20年度に評価方法が設定された。 平成22年度には、この設定された評価方法に従い、定量的データに基づいた指標を整理するとともに平成21年度に実施したアンケート調査結果を用いて定性的指標を整理し、初回PDCAサイクルの評価が実施された。その評価の過程で議論された次期評価に向けた課題は「豊田市公共交通評価業務委託報告書」の第7章(報告書p.34)にまとめられており主な課題は次の3つである。なお、その詳細については該当箇所の抜粋(p.2)を参照されたい。 ○ 評価基準の設定 ○ 定量的データの収集と処理 ○ 定性的指標の見直し 本研究ではこれらの課題の中で3つ目の「定性的指標の見直し」に着目する。この定性的指標は下図に示す3段階ある評価(チェック)の3段階目にあたるもので、「数値では表せない状況を考慮して『沿線住民』『利用者』『行政』それぞれの立場から当該バス路線の『必要性』を評価する」ものである。実際には「チェック1」「チェック2」で基準を満たすことができなかった路線に対して、個々の路線毎に柔軟性を持たせた評価を行ったが、ある程度、客観的な判断が可能な仕組みを構築しておくことが必要だと考えられる。 1.2 目的 本研究では、上記のチェック3の「『沿線住民』『利用者』『行政』それぞれの立場から当該バス路線の『必要性』」について、『沿線住民』『利用者』を対象として、その必要性を「バスを必要とする人はだれか」「バスを必要とするときはいつか」という視点から調査するための質問項目を含むアンケート調査票を設計する。次に、実際のとよたおいでんバスと地域バスの運行路線沿線の住民を対象にアンケート調査を実施し、その結果を分析することを目的としている。 【チェック1】 負担割合の評価 潜在需要を考慮した 利用実態の評価 地域特性や利用実態の変化を踏まえ、沿線住民・利用者・行政としてのバス運行の必要性を評価 当該地域において政策的に必要なサービスであるか、地域特性等や利用実態を考慮し評価。 【チェック2】 【チェック3】 対策案改編案の検討(利用促進会議&地域で検討協議) 定性的指標 NG NG OK OK OK ムダのないサービス提供が行われているか、「運行経費に対する運賃収入等の割合」によって評価。 地域の潜在的な需要が少なければ採算性には限界があるため、地域人口に対する利用者数で評価。 利用運行の実態 アンケト調査など S) 需要に応じた増便等の検 【見直しの方向性】 A) 現行サービス維持 A) 現行サービス維持 負担割合を向上するための利用促進施策の実施 D) 路線廃止 NG B) 適正なサービスに改編 需要に応じた減便、路線改編等の検討 ① ② ③ B) 適正なサービスに改編 必要最小限の運行、路線改編等の検討 C) サービス形態の変更 基幹バス⇒地域バスへ改編、デマンドバスやスクールバス運行等への形態変更検討 図 評価の流れ(出典:豊田市公共交通評価業務委託報告書、p.4)
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