障がい者の移動に関する研究
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2 (2)知的・精神障がい者のための交通社会基盤整備に向けた課題に関する研究 近年、身体障がいに限らず、知的障がい者や精神障がい者の移動のための社会基盤のあり方が問われるようになりつつある。今後、身体障がい者に対応するメニューを中心に整備された社会基盤整備の推進と同様に、知的障がい・精神障がい者の円滑な移動のために、どのような整備や支援体制を整えていけばよいかについて、具体的な方針を示していくことの重要性は高い。先行研究では、知的障がい・精神障がい者の交通行動特性について把握しており、その中で、障がいの程度が同程度であるにも関わらず、外出時の介助者の必要性に差が生じる場合があることがわかっている。ここでは、平成21年の調査結果、ならびに必要に応じて関連施設へのヒアリングを実施することにより介助者も含めた知的・精神障がい者の移動支援のための社会基盤整備に向けた知見を得ることを目的とする。主な内容は以下のとおりである。 1)既往研究の整理 特に知的・精神障がい者の介助という視点からの研究成果、報告等をレビューし、その特徴を明らかにする。 2)外出時の介助必要性からみた知的障がい・精神障がい者の交通行動特性分析 平成21年に実施した調査結果を用いて、特に障がいの程度が同程度で外出時の介助者の必要性に差が生じる群に対象を分け、それぞれによる属性の特徴、交通行動特性(目的、頻度、手段)の特徴、生活活動の特徴(アクティビティダイアリー調査結果の分析)などの分析を通じてどのような条件下において介助が必要とされるのかを明らかにする。 3)介助者の移動支援実態に関する詳細調査とその分析 福祉施設や授産施設へのヒアリング調査等を通じて介助者の日々の生活活動実態および移動支援に対する課題意識について明らかにすることで、介助者の視点から見た社会基盤整備の方向性およびその課題について把握する。 4)知的・精神障がい者のための社会基盤整備に向けた課題の整理 2)、3)の分析を通じて、知的・精神障がい者のための社会基盤整備に向けた課題を整理する。

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