障がい者の移動に関する研究
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53③外出頻度 表4-3は障がい者の年齢と過去1ヶ月間の目的別の外出頻度の関係を示している。通勤通学、福祉施設等への訪問については、目的そのものが無いこともあり、データがない年代が生じている。よって、ここではすべての年代で外出頻度の回答を得られた買い物、通院目的において分析を行う。年齢による傾向を探るため、目的別でクラスカル・ウォリス検定を行ったところ、いずれの障がい、目的においても有意な差はみられなかった。回答数の少なさなどの影響も考えられるが、上述のように外出目的の有無の視点からみれば、買い物目的、通院目的いずれも障害によっては年齢によって有意な差がある一方で、活動量ともいえる外出頻度という視点からみれば、年齢によって差が生じないことが窺える。 表4-3 1ヶ月当たりの目的別外出頻度 通勤通学 買い物 通院 福祉施設等への訪問 視覚 非高齢 21.6 (5) 9.5 (10) 1.6 (14) 4 (2) 前期高齢 - 5.6 (10) 1.3 (10) - 後期高齢 - 6.7 (8) 2.3 (19) 7.7 (6) 聴覚 非高齢 20 (29) 12.5 (29) 2 (14) 1.8 (8) 前期高齢 16 (1) 11.3 (7) 3.9 (8) 12 (2) 後期高齢 - 8.3 (4) 2 (5) 24 (1) 下肢不自由 非高齢 17.6 (5) 8 (8) 1.8 (8) 4 (1) 前期高齢 4 (1) 9 (10) 4 (11) 6.6 (4) 後期高齢 - 2.3 (4) 3.3 (14) 8.5 (9) 体幹 非高齢 20.8 (5) 5 (8) 3 (6) - 前期高齢 8 (1) 8.9 (7) 5.2 (5) 7 (2) 後期高齢 - 1 (1) 6.7 (3) 1.5 (1) ※単位は日,( )内は被験者数,クラスカル・ウォリス検定 有意差なし(買い物・通院目的別年齢別の外出頻度の差) ④運転免許の保有 先行研究2)で明らかにしたように、障がい者にとって自動車交通は重要な交通手段となっている。そこで以下では、自動車による移動の可能性と年齢による関係を探るため、障がい者本人の運転免許の保有状況と、利用できる自動車の状況についてみていく。 図4-7は障がい者の年齢と運転免許の保有状況の関係を示している。フィッシャーの正確確率検定を行ったところ、下肢不自由、聴覚障がい者で年齢によって有意差がみられた。特に下肢不自由障がい者は1%水準での有意差が検出されている。有意差がみられたいずれの障がいも高齢になると運転免許を保有する方が有意に減少することがわかる。対照的に有意差のみられなかった障がいは年齢に関わらず運転免許を保有していたり、していなかったりするといえる。特に視覚障がい者は年齢に関係なくほとんどの方が運転免許を保有してはいない。

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