障がい者の移動に関する研究
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41 表3-15は課題の対象の視点から整理した指摘数の結果を示している。全体的に交通空間、交通システムに対する指摘が多く、人の応対に対する指摘は少ない。同行の多少による差があるかをみるため、マンホイットニーのU検定をおこなったところ、交通空間において10%水準で有意差があった。交通空間の指摘は同行が多い群において、有意に多いことがわかる。 表3-15 課題の内容別指摘数(具体的対象面) 人の応対 交通空間 交通システム 同行多 1.2 3.8 2.4 同行少 1.8 1.8 3.3 P値 0.52 0.02** 0.53 ※マンホイットニーのU検定:**:5%有意 以上のように、特に障がい者本人の健康面、日常生活能力上の課題が同行の多少に影響を与えており、その状況を踏まえた交通行動上の課題は特に交通空間面で大きな差となって現れていることがわかった。この結果を踏まえ、このような状況の違いが具体的にどのような課題となっているのかを確認するため、歩行、自動車、公共交通環境別での具体的な指摘内容をみる。 表3-16は歩行環境、表3-17は自動車環境、表3-18は公共交通環境それぞれの課題について、上述の視点から整理した結果である。まず歩行環境の課題についてみると、同行の多少に関わらず、「自転車が飛び出してきて本人は反応ができない」、「本人自身が避けるということをしない上、ぶつかっても謝ることもできない」、「自転車を利用する際、歩道が狭いので歩行者がいたりしてもベルを鳴らすなど避けてもらうような行動を取ることはない」といったように本人の判断能力の低さや歩行環境下におかれたときの対応能力の低さが多く指摘されている。上述のように特に同行が多い群の場合、「本人の能力等を踏まえた介助者対応時の問題」の指摘が多いが、これを詳しく見ると、特に交通空間、交通システムに対する意見が多く、「歩行者用信号が場所によって無い方向があるが、進行方向を教示する際に無いととても困る」、「これまで自転車に乗るときは歩道があれば、歩道を走るように教育してきたが、昨今の取締り強化によって自転車が車道に押しやられると、とてもではないが自転車を使えとは言えない。」、「車が入ってくるようなところは教えないようにしている。そのため本人ひとりでも、保護者と一緒でもいける範囲が狭くなってしまう。」といったように特に移動の教育をする際に既存の施設や仕組みが大きな障がいになっていることが窺える。 次に自動車環境の課題についてみると、指摘数は少ないものの、特に駐車時における乗り降りの際の課題が複数指摘されている。そもそも自動車での移動が多くなりやすいことも、問題を顕在化させる一因となっていると想定される。 最後に公共交通環境の課題についてみると、同行の多少に関わらず、「何かトラブルがあった際に、立て続けに言われるとパニックに陥ってしまう。」、「乗り物に乗ると他人にどうしてもしゃべりかけてしまう。」といった行動面の課題が指摘されている。また、「駅で電車の長さ(編成数)で乗る位置を固定したが、たまに編成数が異なる車両が入ってきたときに逆の方向に行ってしまったことがあった。本人から声をかけてくれれば対応できるが、かけてもらえないと対応のしようがないとのことだが、本人は「わかりません」ともいえない。」、「療育手帳を提示しないと半額にならないが、コミュニケーショ
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