障がい者の移動に関する研究
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33(3)介助者の移動支援実態に関する詳細調査とその分析 ここでは、福祉施設や授産施設へのヒアリング調査等を通じて、介助者の日々の生活活動実態および知的障がい者の移動支援に対する課題意識について明らかにすることで、知的障がい者のための社会基盤整備の目指すべき方向性について明らかにする。 1)調査方法 ヒアリングは豊田市の福祉系NPO団体等の管理者を通じて、紹介を頂いた9名を対象に実施した。被験者は知的障がいを抱える本人を最もよく把握し、介助していると考えられる本人の親である。調査は可能な場合は本人も参加し、可能な範囲で意見を伺った。調査は2011年の11月~12月にかけて1組約1時間程度の時間をかけ実施した。調査項目は活動実態や本人の障がいの内容、そして歩行・自転車、自動車、公共交通機関での移動環境の課題などである。 表3-4 調査概要 調査対象:豊田市の福祉系NPO2団体が紹介する9名の保護者(および知的障がいを抱える本人(5名のみ)) 調査期間:2011年11月~12月 調査方法:面接方式 調査項目: 1)保護者・本人の個人属性(年齢、性別など) 2)活動実態(保護者、本人双方の視点から) 3)本人の障がいの内容と日常生活能力および外出時の行動能力 4)移動時の課題(歩行・自転車での移動環境、自動車での移動環境、公共交通機関での移動環境の視点から) 2)分析の視点 ここでは、特に介助者の生活活動が本人の障がいによってどの程度影響しているかを捉えるため、介助者の活動時に本人を同行させる必要がある、もしくは本人の活動に際して介助者が同行する必要があるものといった2つの視点を考慮する。そのなかで、特に介助者と本人の同行が比較的多くなる群とそうならない群にわけ、それぞれの群における本人の生活能力、移動能力からみた傾向を整理する。さらに、それぞれの群別で交通行動面の課題の特徴およびその傾向を整理する。 3)結果 ①被験者の個人属性 表3-5は被験者の個人属性を示している。10〜30歳代の方が多く、障がいの程度は重度の方が比較的多い。介助される保護者はすべて女性で親の方である。多くの保護者が自身以外で本人の介助を支援できる家族がいるが、2名のみ支援できる家族がいない方がいた。

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