障がい者の移動に関する研究
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27 (2)外出時の介助必要性からみた知的障がい・精神障がい者の交通行動特性分析 1)調査概要 ①調査対象地域 調査対象都市である豊田市は、人口約42万人(2011年2月現在)である。平成13年の中京都市圏PT調査によれば自動車の交通手段分担率が70%以上であり、地方都市であることや自動車産業の城下町であることなどから、自動車交通に依存した都市構造を有している。公共交通は、鉄道・主要バス路線とも名鉄豊田市駅を中心として放射状に形成されている。平成17年の市町村合併以前の旧町村地域などの過疎部では、生活交通を確保するため市の運行する貸し切りバス、福祉バスなどが運行されている。 ②アンケート調査の概要 アンケート調査の概要は表3-1に示す通りである(1)。本研究では、被験者について、その障がいによる影響を厳密に捉えるため、対象とする障がい(知的障がい、精神障がい)のみを持つ方を対象に絞り込んで分析を行っている(2)。分析は上述のように障がい程度の判定が「中程度」の場合とし(3)、外出時の介助の必要性からみた交通行動特性の違いを明示する。 表3-1 アンケート調査の概要 項目 内容 調査対象 豊田市の障がい者のうち、交通行動に影響があると想定される比較的障がいの重い方(身体障がい:等級1~3級、知的障がい:A~B判定、精神障がい:等級1~2級) 抽出方法 豊田市障がい福祉課の協力を得て豊田市の地区区分(12地区)と障がい種別(7種)で分類したカテゴリーごとにランダムに抽出。ただし、対象者数の少ないカテゴリーにおいて、配布数が20を下回る場合は、上限配布数を20として配布数を増やすよう調整 調査時期 2009年3月 調査方法 郵送配布・郵送回収(一部電子ファイル) 配布回収 状況 配布数2,511(抽出率20%以上)、有効回答数1,301(有効回収率52%) 調査項目 個人属性(外出時の介助の必要性を含む)、障がいが理由で行けない場所、ある一日の活動および移動状況、普段の外出状況(目的別の頻度・手段など)と問題点、一週間の外出状況など 2)結果 ①個人属性からみた傾向 表3-2は分析対象者の個人属性である。なお、未記入があるため年齢と性別の人数は必ずしも合致しない。年齢分布をみると、知的障がいでは、20歳以下の若年層、51歳以上の高齢層で外出時に介助が

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