環境・経済・社会による都市構造評価の枠組みと豊田市を対象とした試算
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21.2 持続可能な都市構造と交通システム 持続可能な都市構造と交通システムを考える前に「持続可能」の意味について整理する。持続可能な開発・都市・社会など様々なコンセプトとして使われている。「持続可能な開発」は、国連に設置された「環境と開発に関する世界委員会」が1987年に発行した最終報告書の中では、「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」と説明されている5)。これに倣えば、「持続可能な都市構造と交通システム」とは「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たす都市構造と交通システム」ということになる。「世代のニーズを満たす」とは「ある時代の市民が、利便性が高く快適で安全・安心な生活を享受すること」だと考えられる。また、ここで考える都市構造とは住宅・商業施設・病院福祉施設・公園・森林・田畑などの土地利用の空間的配置であり、交通システムとはそれらの土地利用を結びつける道路・クルマ・バス・鉄道などの交通機関網の空間的配置である。そして、現在・将来の世代のニーズを満たした上で、都市構造と交通システムの維持管理費用を将来にわたって負担できる財源の範囲内に抑え、地球温暖化などの地球環境問題に対応できるように日常の経済活動や移動の方法を改善しつつ、それらを適切に維持管理していくことだと考えられる。 1.3 研究の目的 本研究では、豊田市における様々な既存計画を低炭素社会の実現という視点から検証するために、都市構造の変化を分析するための土地利用モデルと組み合わせた都市構造評価システムの構築に向けて、1)環境・経済・社会のトリプル・ボトム・ラインの視点からの都市構造評価の枠組みを整理し、2)豊田市を対象とした試算を行うことを目的とする。 参考文献 1) 豊田市環境モデル都市アクションプラン、 http://www.city.toyota.aichi.jp/division/al00/al03/1198860_7180.html 2) 第7次豊田市総合計画、http://www.city.toyota.aichi.jp/division/aa00/aa03/1193090_7010.html 3) 豊田市都市計画マスタープラン、 http://www.city.toyota.aichi.jp/division/aj00/aj01/1194038_7156.html 4) 豊田市公共交通基本計画、http://www.city.toyota.aichi.jp/division/aj00/aj02/1194047_7158.html 5) 環境と開発に関する世界委員会:地球の未来を守るために、福武書店、1987.7

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