環境・経済・社会による都市構造評価の枠組みと豊田市を対象とした試算
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12第3章 豊田市の対象とした試算 本章では、豊田市を対象とした環境・経済・社会に関するいくつかの試算結果を示す。 3.1 環境面、経済面、社会面を評価する指標の設定 環境面を評価する指標として、複数ある環境問題の中でも近年大きな問題となっている気候変動への寄与が(単位量当たりでは寄与は小さいが、絶対量が多いため)大きいとされている温室効果ガス(Green House Gas:GHG)の1つである二酸化炭素の排出量を設定する。社会面を評価する指標として、規範的に設定する住民の生活環境質を設定する。経済面を評価する指標として、都市域を維持していくために投入される社会資本(インフラ)の維持費用を設定する。以上のように設定した環境面、社会面、経済面を評価する3つの指標から、都市が持続していくためには「より少ない二酸化炭素排出量や社会資本の維持費用の下で、より多くの生活環境質を住民に提供できる」ように都市構造を再編していく必要があると考える。 3.2 評価指標の推定方法 ここでは環境面、経済面、社会面での評価指標の推定方法について概説する。 (1)環境面(二酸化炭素排出量)の推定方法 二酸化炭素排出量の推計の対象は住宅、インフラ(道路、上水道、下水道)、旅客交通とする。二酸化炭素排出量の推計方法:推計対象の物量に環境負荷原単位を掛けて推定する。例えば、住宅の場合であれば、1年間に木造住宅から排出される二酸化炭素の量は、木造住宅の延床面積[㎡]に、物量ベースで整備されている木造住宅の環境負荷原単位433。951[kg-CO2/㎡]を乗ずることで推定できる。本研究では、社団法人日本建築学会地球環境委員会が2003年に公表しているLCAデータベース(1995年産業連関表データ版)Ver。3。1に示されている環境負荷原単位を用いる。これを用いる理由は、1)内包環境負荷が考慮されていること、2)物量ベースに換算済みであること、3)住宅建築(木造・非木造)、非住宅建築(木造・非木造)のように細かく分類されていること、が挙げられる。国立環境研究所では2005年産業連関表に対応した環境負荷原単位データを公表しているが、価格ベースのものであり、建築学会の物量ベースになっていない。 (2)経済面(社会資本(インフラ)維持費用)の推定方法 社会資本(インフラ)維持費用の推計の対象は道路、上水道、下水道とする。社会資本(インフラ)維持費用の推計方法:推計対象の物量にインフラ維持費用原単位を掛けて推定する。例えば、道路の場合であれば、1年間に道路の維持・管理(切削オーバーレイ工事)に掛かる費用は、道路の延長[m]に、インフラ維持費用原単位[円/m]を乗ずることで推定できる。

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