プローブデータを用いた交通安全評価に関する研究
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62.3. 2章のまとめ プローブカー(フローティングカー)データは、環境対策、安全対策、災害時対応等への活用が期待されており、既に、これらのサービスが提供され始めている13)。しかし、プローブデータの安全対策への活用の観点からみると、実事故との関連性についての検討は十分とはいえない。また、プローブカーデータから危険箇所を抽出するための手法には、データ収集に用いる装置の仕様に適した方法を開発する必要がある。さらに、事故の内容(事故類型)を加味した検討は、事故データの蓄積を持つ(公財)豊田都市交通研究所ならではの研究であるといえる。 エコドライブの取り組みと事故の減少に関しては、運送事業者におけるトラックでの取り組みで事故低減効果が報告されているものの、一般の乗用車ドライバーがエコドライブに取り組むことによる事故削減効果についての報告はない。さらに、エコドライブが事故を抑制する要因については、定性的な類推にとどまっており、検討の余地が大きいといえる。 参考文献 1) 山本俊行、Lei DENG、森川高行、森川博邦、森本善也:プローブデータによる交通事故多発危険交差点の抽出可能性に関する分析、土木計画学研究・講演集、Vol.33、2006 2) 古屋秀樹、牧村和彦、川崎茂信、赤羽弘和:車載センサーを用いた車両挙動特異地点抽出に関する基礎的研究、土木計画学研究・論文集、Vol.20、No.4、pp.787-795、2003 3) 古屋秀樹、牧村和彦、森昌文:車載型車両挙動センサーを用いた交通安全性の評価(紹介)、交通工学、Vol.36、No.6、pp.19-22、2001 4) 山崎信也、高橋弘行、都築清士、塚原英徳、嶋田一彦、江尻剛士、石見成行、竹下航:プローブ情報を活用したヒヤリハット情報提供の検討(資料)、自動車技術会論文集、Vol.39、No.3、2008 5) 西堀泰英、稲垣具志、加知範康、安藤良輔、三村泰広:自動車走行時の加速度発生状況と交通事故発生箇所の関連分析、土木計画学研究・講演集、Vol.42、2010 6) 久保登、森みどり、龍重法、石川博敏、堀野定雄:加速度波形による効果的なドライブレコーダーデータの自動分類手法、自動車技術会2011年春季大会学術講演前刷集、No.46-11、pp.1-4 7) 間地寛、春日伸予、石太郎、大聖泰弘:エコドライブ活動による燃費改善と交通事故低減、自動車技術会論文集、Vol.38、No.3、pp.99-104、2007 8) 新田保次、藤岡太造:車載機器を用いたエコドライブ支援による貨物自動車の燃費・環境改善および安全性向上効果の分析、土木学会論文集D、Vol.65、No.3、pp.293-302、2009 9) 人とまちへの思いやり。とよたエコドライブ、とよたエコドライブプロジェクト成果発表会資料、2011.3.13、豊田市 10) PROJECT BOOK ECO DRIVE PROJECTパンフレット[企業向け]、豊田市 総合企画部 環境モデル都市推進課 11) 牧下寛、森健二:エコドライブを意識した運転時の車両挙動と反応時間、交通工学、Vol.44、No.2、2009 12) 牧下寛、森健二:エコドライブと通常運転の車両挙動の調和、交通工学、Vol.45、No.2、2010 13) 通信技術がもたらす未来の車社会、2011年度(公社)自動車技術会中部支部第2回技術講習会テキスト、2012.3.7、刈谷市

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